アディム(画家)

# # # #

#1 サンパウロな画家と社長の部屋

10月末に開催された、いわば団地フェス『LIVE!! in 森之宮団地』ではライブペインティングで登場したアディムさん。古民家を改装した大阪の[gallery&space SIO]で個展をわいわい開催中。ということでおじゃましました。アディムさん、はじめまして。


アディム
バンドCzecho No Republicでギターとして活躍するも2012年8月に脱退。現在、東京を中心に画家、イラストレーターとして活動中。
http://adim.jp/

ーまず、アディムさんのプロフィールには“サンパウロからやってきた”とありますね。

アディム:最近は、サンパウロな画家と言ってます(笑)。

ーそもそも絵を描き始めたキッカケは何でしょう?

2012年くらいまでバンドをやっていて、メジャーデビューするか否かということになったんですね。でも、ぼくはそのバンドで曲を書いていたわけじゃないし、このままバンドの一部になってしまうのか…バンドで人生が確定してしちゃうような気がして。踏み出した理由はそれですね。

ーそれでバンドを辞めて、絵を描いていく決断を?

自分が根源であるというか、自分が主体として戦えるというのが大事だと思って。自分がやりたいことをやってみんなが集まってくればいいし。もともと絵を描くのが好きで、絵の学校に行っていたこともあります。

DSC_8682-13

ーなるほど。それにしても今回の展覧会はスタイルがさまざまですね。天井から吊るしたり、くしゃくしゃのティッシュが置いてあったり。

絵を描くひとは発明をするものだと思っているんです。だけど、自分はまだ全然開発しきれてなくて。これは過程なんだけど、いろいろ出てきたものがあります。

ー”牧歌的なスタートレック”というか、1枚の大きな紙に不思議なキャラクターがいろいろ出てきている絵があります。

cg_DSC_8698-17
”牧歌的なスタートレック”!?

無限に絵を生み出せると思っている自分のやり方があって、この絵がそうです。これだと手と感覚だけで、ずっと物語を作っていけますね。きっと見るひともなにかの物語を想像できる感じ。こちらの作品は、話が連続しているというパターンです。

cg_DSC_8804-55

ーどんな物語ですか?

船に水が入って沈没しちゃって、船上でみんな慌ててるけど、主人公は海に飛び込むんですね。

ー次の絵は?

海に飛び込んで楽しい!と。そして陸を探して泳いでるんですけど途中でイルカと仲良くなって。次の絵では新キャラが登場して……(どんどんストーリーはファンタジー度を増していき)そして最後は夢だった、と。

―夢オチ! でも展開が誰にも予測できないものですね。

この話をするとみんな驚いてくれますね。でも共感はゼロ(笑)。

cg_DSC_8809-59

ー独創的ですもんね。

ストーリーは現実から遠ざかれるものがいい。ぼくが非現実的なんです(笑)。こっちの絵は、世の中のあらゆることを知ってると思ってる博士なんだけど、夜中にネズミが博士のカツラを外して遊んでることは知らない、っていう絵ですね。

―どこかの国のことわざですか!? 今回の展示作品はこのギャラリーで制作を?

そうですね。東京でいつもやっているギャラリーよりもここは大きいので空間を利用して。

DSC_8739-29

ー自分の家でも制作しますか?

しますけど、これまでずっと知り合いの社長の家の部屋を借りて住んでたんです。

ー社長の家に借り暮らし?

そうですね。その前は、友達とルームシェアをしていたけど分裂しちゃって。そのタイミングで、部屋余ってるからって誘ってもらって。一軒家の中にある6畳の部屋です。一時的に借りるつもりだったのが、もう2年くらいそこにいて、最近、ようやく引っ越しました。

ーまたなぜ?

みんなにこのまま甘えていてはダメになると言われて。部屋に日差しがまったく入ってこないということもあり。先月引っ越したばかりですが、やっぱり日差しが入る部屋ってめっちゃいいですね。

ー2年も住んでると引越しは大変だったのでは?

いっぱい捨てました。もともとあんまり物を持ってなくて、もう描く道具くらいしかないです(笑)。

DSC_8756-33

文:中村悠介 写真:平野愛 編集:竹内厚

先日、森之宮団地の一室にできた音楽スタジオでも絵を描いたアディムさん。そこでは、「自分が団地の一部になっちゃった」そうです。次回、そんな彼の新しい空間に馴染むコツもお聞きします。かなりのオリジナルスタイルですよ。


THE BORROWERS

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。