これからの集会所、
それは必ずしも場所ではなく

―アサダさんは、福島県いわき市の復興団地で活動されているそうですね。

アサダ:もと住んでいた場所の避難指示が解除されて、もとのお住いに戻られる方が増えてきている状況です。興味深いのは世代の話なんです。たとえば、60代の方とその親にあたる80~90代の方では意見が違います。もとの住まいに帰りたいという80~90代に対して、60代の世代は、さらにその下の子どもの世代のことなんかも考えて、帰るのが難しかったりして、要は、覚悟を決めにくいんですね。この団地に住み続けると決めたら、そこにコミュニティをつくる意識も生まれるでしょうけど、今はそこがまだ「仮」なので。

―そんな復興団地で、アサダさんと自治会の方で「ラジオ下白神」というプロジェクトをされている。これは、住民の方に音楽と街にまつわることを聞いて、アサダさんがそれをラジオ風に編集してCDにして、そのCDを各戸配布しているというもの。

アサダ:リクエストを手紙で募集しているんですけど、200戸くらいある団地で10数枚の手紙が届きました。そのうち何枚かは、集会所などにも全然出てこられてない住人の方なんですよ。なので、そのリクエスト手紙のことを自治会の人らにも話すと、「あー、1号棟の◯◯さん、おられますねぇ。こういったことに興味があったのね」っていう感じで、その方の話題になるんです。

―集会所に集まるのとはまた別のコミュニティが生まれようとしている。

アサダ:そうですね。すでに集会所などのコミュニティをしっかりと形成されてる方だけでやっても意味がないので、そうじゃない方とどうアクセスしていくか。手紙をいただいた方のお宅をまたこちらから訪ねたりしながら、一歩一歩進めているところです。

西山:団地のコミュニティの問題はURでも大きなテーマで、話題に挙がっていた団地のバッファ部分を利用して、URなりの取り組みもはじまっています。たとえば、集会所を音楽スタジオに変えてみたり、DIYの相談ができるようなサロンにしたり、キッズルームにしたり。いろんな機能を持たせることで、ゆるく人が集まれる場所になればとチャレンジしているところなんです。

―集会所と言われても「何の集会?」となりかねない中、機能をもう少しはっきりさせてきているんですね。

西山:お茶会しますと言われても、なかなか参加しづらい人もいるでしょうけど、音楽のスタジオだったら、そこを使っているうちに通じ合う人と出会うってこともあるかなと考えています。

アサダ:僕も音楽をやっているので、団地内にスタジオがあるなんていいなと思います。今のお話を聞いて思ったのは、場所に機能を持たせるのもいいんだけど、人に役割を担ってもらうやり方もあるんじゃないかなって。この人はこれができるんだからこういうことをやってもらえたら、みたいなことも考えられそうです。

―集会所のような場所から考えるのではなく、住人から発想して生まれるコミュニティも確かにありそうですね。

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THE BORROWERS

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。