団地だからこそ
できること、考えられること

―今回のテーマは「まちと団地」でした。団地のバッファ、共用部の話を長くしすぎてしまいましたが、「まちと団地」ということでご意見あれば教えてください。

アサダ:小さい頃、団地でよく遊んでたんです。集会所でも遊んだし、その裏側みたいなところでも。子どもって、そこが団地だとか気にせずに自由に行き来しますよね。その「遊ぶ」ということはひとつのキッカケになるかもしれない。

千葉:僕らは不動産の仕事をしているんですけど、今、街にすごく興味があるんです。これまでは国や自治体が絵を描いて、街をつくったり変えてきたと思うんですけど、たぶんそんな時代はもう終わる。そうなったら、「この場所、もうちょっとこうなればいい」みたいな、小さな気持ちが群れになって街が変わってきたりするのかなと。そんな簡単じゃないとは思いますけど、そんな思いもあって、僕らも街で活動をはじめています。

―そうなんですね。

千葉:東京のシンポジウムでご一緒した、アーティストの北澤潤さんの話で新鮮だったのが、北澤さんは普通の住宅街に生まれ育ってきたから、団地を見たときに、この枠の中でだったら、自分が何かをやることで変化を生み出せそうな気がしたと言うんですね。そういう意味では、団地のサイズって程よくて、いろんなことに挑戦して、やってみることもできるんじゃないかって。公団時代の団地もそうでしたよね。国の住宅施策をリードする意味で団地ができてきたところもあるわけだから。

―街の最小単位として団地。そう考えてみると、団地づくりの先に街づくりが見えてきますね。

岸本:私自身、団地に暮らしていると、ほどよい共同体のいち構成員みたいな気持ちがあって、だけど、いきなり街のことって言われても、大きすぎてその実感は持てない。それもあって、京都の街と団地は似ているという話も思いついたんですよ。

―岸本さんによるコラム「団地と京都って似てない?」はOURS.のウェブ内で掲載していますので、そちらもゼヒ、ですね。ちなみに、OURS.サイトをつくる中で考えていることのひとつとして、もっと住人ひとりひとりの声を聞いていきたいということです。団地がノスタルジーで語られがちな原因として、ほんとにいま現在、団地に住んでいる方、個人のリアルな声で伝わってくるものが少なすぎると感じるので、その数をもっと増やしたいですね。

千葉:そこができるのは、本当にすごくうらやましい。嫉妬しますね(笑)。

アサダ:僕もOURS.でインタビューを載せてもらってから、数年経って状況が変わってきていて、今は東京の小金井市に住んでるんですけど、そこで暮らしをテーマにしたプロジェクトをやってるんですね。自分に子どもができたこともあって、移動し続ける生活から、自分が暮らす街で、生活の中から何かをやってみたいなと思ったんです。

―今のアサダさんの中では、自分の暮らしから発したプロジェクトに興味が移りつつあると。

岸本:私が『もし京都が東京だったらマップ』という本を書いたのも、まさに今、住んでる人の声に興味があったからなんです。京都の場合、歴史を語る本はたくさんあって、だけど、現在の京都を語ったり、自分がいいと思う街のことが書かれてる本がとても少ない。少し先の未来くらいまでを見通すようなものをつくっていきたいですね。

―京都はとりわけ過去の磁場が強いからこそ、現在、ちょっと先の未来へも意識的に気持ちを向ける。その話も、団地と京都は似ていますね。

西山:みなさんのお話を聞いてきて、住んで楽しい団地になるように、その努力を常に怠っていてはいけないなということを改めて感じました。UR団地でのさまざまな活動の様子は、これからもOURS.サイトでも発信していきますので、また見ていただけたらと思います。

<お話の中で出てきたことをまとめてリンクします>

□「ラジオ下神白
アサダワタルさんが、福島・いわき市の災害公営住宅・下神白団地で行っているプロジェクト。

□「“想起の遠足 小金井と私
アサダさんが小金井市で手がけた「記憶」をテーマにした遠足プログラム。

□『もし京都が東京だったらマップ
岸本千佳さんが2016年に著した新書。もともとは岸本さんがブログで発表したもの。

□「団地R不動産
千葉敬介さんも関わる団地の不動産情報サイト。

□『団地のはなし 彼女と団地の8つの物語
千葉さんが編集を担当した書籍。

OURSでの アサダワタルさんインタビュー (2015年冬)

OURS.での 岸本千佳さんコラム

大阪・千島団地での DIYプロジェクト について

大阪・森之宮団地にある 音楽スタジオ について

□「ラジオ下神白
アサダワタルさんが、福島・いわき市の災害公営住宅・下神白団地で行っているプロジェクト。

□「“想起の遠足 小金井と私
アサダさんが小金井市で手がけた「記憶」をテーマにした遠足プログラム。

□『もし京都が東京だったらマップ
岸本千佳さんが2016年に著した新書。もともとは岸本さんがブログで発表したもの。

□「団地R不動産
千葉敬介さんも関わる団地の不動産情報サイト。

□『団地のはなし 彼女と団地の8つの物語
千葉さんが編集を担当した書籍。

OURSでの アサダワタルさんインタビュー (2015年冬)

OURS.での 岸本千佳さんコラム

大阪・千島団地での DIYプロジェクト について

大阪・森之宮団地にある 音楽スタジオ について


THE BORROWERS

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。