8.顔の見える器

知香さん曰く「かわいそうなくらいある」という服部家の器。
それは、ふたりで使い切れないくらいの数の器があるということ。
だけれども、その数にはちゃんと理由がある。

滋樹:人と出会った以上、作品を味わいたい。

クリエイティブユニット・grafの代表として、地域、企業のブランディングやさまざまな企画、プロダクトの制作を行う中で、日々、必然的に多くの作り手と出会う。
そんな毎日の積み重ねが、文字通りキッチンの棚に積まれている。

知香:全然使っていないのを割ってしまったことがあって、それを黙っていたんです(笑)。
でもある日突然、「あの器どこいったん?」って。

数は多くて無造作な扱いに見えるけど、ちゃんと覚えている。
作り手と会い、コミュニケーションを取って購入した器の数々は、過ごした時間と共に記憶に定着する。
なくなると記憶の隙間のようなものを感じるのかもしれない。

そんな服部さんの数ある器の中からいくつかを紹介する。
圧倒的に手仕事を感じさせる器が目立つ。

上:岡山にあるカレー店「さんはうす」のカレー器。こちらも出西窯のもの。さんはうすのオーナーと知り合いになり、骨董などを交換する仲に。その交換品のひとつ。
左:兵庫・川西にある不定期営業の書店「コトバノイエ」。そのオーナー・加藤博久さんが誕生日プレゼントにと焼いてくれた器。
右:スリップウェアだけど薄さが特徴的。静岡の齊藤十郎さんの作品。

長崎県の綿施和子さんの器。箱のデザインも自分でやっているそうで、かわいらしい。

服部さん曰く「沖縄のヒーロー、土の神様」。沖縄・読谷の陶芸家、大嶺實清の作品。

9.ドムス香里に住む理由へつづく

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