# # # # # #

#2 完全予約制の不動産屋

自分の思うスタイルで物件を紹介したいと3年前に立ち上げた「平野不動産」。住んだ先の未来まで一緒に考え、不動産の枠を越えたつながりを大切にしています。

#1 はこちら

 

ー「平野不動産」ではどういった物件を扱っているんですか?

平野:個人的に70~80年代の住宅が好きなので、その時代の物件を紹介させていただくことが多いのですが、新しいものを否定する気持ちはないので、希望があれば新築もご案内します。他の不動産屋さんと違うのは、完全予約制なところでしょうか。

ー完全予約制? それはちょっと変わっていますね。

平野:簡単な条件はメールでお知らせいただくのですが、会って、話して、対話を重ねた上で、そのお客さんの暮らしに合う住居を提案したいと思っています。話の中でイメージを膨らませて、その人になりきって物件を探す、というのが僕のスタイルです。

物件だけでなく、その街のことも案内したいので、時には物件を見た後、近所で一緒にごはんを食べたり、家具屋や雑貨屋をまわったり、時間はかかりますが、住んだ先のことまで一緒に考えて決めてもらいたいなと。効率はめちゃくちゃ悪いんですけど。

ー予約制だから、相手も本気。お互い本気で向かい合うんですね。

平野:そう、だから細かなウィークポイントも伝えます。言わなければ契約してもらえてたんだろうけど、実際に住んだら嫌だろうなと自分が思う点は、きちんと伝えるようにしています。だからその分「他でなかなかいいの出なくて」という人が来て、決めてくれると嬉しいですね。

ー平野さんが思う良い物件というのは、どんなものですか?

平野:僕が物件を探す上ですごく大事にしていることは、「空が見えること」「いかに風が抜けるか」。このふたつはいくらお金を出しても買えないんです。あとは、それぞれの人に合う街の空気感でしょうか。これらは写真だけでは分からないんですよ。実際に足を運んで、感じ取ってもらうものだと思います。

僕の仕事は建物を仲介するだけではなく、これからの暮らしを提案することだと思うので、ただ箱を扱っているのではない、という自負はありますね。

ーなるほど。不動産の枠を越えて、コンサルティング業に近い気がします。

平野:前職の影響も少なからずあると思います。チケットを売るだけでなく、どうお客さんに楽しんでもらうか。不動産も高く貸したい大家さんと安く借りたいお客さんの、相反する中にいるので難しい仕事だとは思いますが、できる限りお客さんに寄り添っていきたいです。

ー住居以外の仲介もあるんですか?

平野:店舗物件の紹介もさせていただいています。分譲マンションや一軒家ご購入のお客さんに対してもそうなのですが、必ず資金計画書を見せてもらうんですよ。嫌がられる方もいますけど。最初にまず買えるのか、やれるのか、面倒くさいことも含めて考えることが第一歩だと思うので。店舗だったら、時代に合ってるのか、この業種でこの場所は大丈夫なのか、一緒になって考えますね。そのおかげか、店舗の仲介で潰れた店は今のところひとつもないんですよ。ちょっとした自慢です。

ーそれはスゴイですね。頼もしい!

平野:良い店ができるのは、建物にとっても街にとってもメリット。もちろん近隣の住人の方にも。僕の仕事はそのお手伝いですね。

ーやっぱり、ただの不動産屋ではありませんね(笑)。

平野:アンダーグラウンドな不動産屋になりたいんですよ。普通の不動産屋さんだったら、土日が案内多くて忙しいんでしょうが、僕は週末は家族と過ごしたり、趣味の釣りにも没頭したい。自営業でも自分の時間は大事にしたいと思っています。仕事のために生活が疎かにならないように。不動産も同じく、暮らしが楽しめる住処でないと。お客さんのマニアックな条件とかこだわりに応えつつ、こちらも面白い物件を提案していきたいですね。

それに不動産だけでなく、イベントの企画もやったりしているので、自分でもいったい何屋なのかわからなくなることがあります(笑)。

#3 福岡でカリグラシのススメ
気になる福岡の不動産事情。平野さんから物件探しのアドバイスもいただきました。


THE BORROWERSとは

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。