レンタルCDの名店、日本橋・K2レコードへ。
冨山店長を直撃。

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#3 レンタルだからこそできること

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―冨山さんご自身のお話も聞いていいですか。K2レコードには大学卒業後にすぐに入られたとのことですが、学生時代は何してましたか。サークルとか入ってました?

冨山:軽音学部でドラム叩いてましたね。

―まわりには音楽好きがたくさんいたクチですね。

冨山:友だちや先輩からいろいろと自分が知らなかった音楽を教えてもらいました。当時はとにかくいろいろ聴きたくて、バイト代ほとんどCDに消えてました。

―じゃあCDの貸し借りもよくされてたんじゃないですか。

冨山:そうですね。けっこう日常的にやってたと思います。でも、よく覚えてるのはカセットテープですね。好きな曲をテープに入れて、それを友だちに貸したり、あげたり、そういうのはよくやってました。

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―最近は、音楽を聴くのもネットが主流になりつつあって、たぶんCDを貸し借りするということも昔に比べると減りましたよね。貸し借りよりは、むしろ、シェアとか拡散とか。そうした状況に対して冨山さんご自身はどうお考えですか?

冨山:もちろん昔より便利になっているというか、手軽にいろんなものが聴ける状態にはなっていると思います。とは言え、それで誰もが100%満足するかというとそんなことはない。特に音楽ファンの人たちはまだまだCDやレコードを買っていて、やっぱり現物が欲しい、見たい、手に取りたいという気持ちは強いように感じます。

―そういえば、最近は大手レンタルでCDを借りたらジャケットが入ってないですよね。それに比べてK2レコードはジャケット付きで借りられるし、さらに状態がいい。古いものでも紙モノの状態がすごく良くてびっくりします。

冨山:うちのお客さんに関して言えば、たぶん家の中に自分のライブラリーがある人が多いんだと思います。だから、単に音を聴くだけじゃなくて、ジャケットも見たいし、ライナーも読みたいし、扱い方も自分のものと同じように扱ってくれるんじゃないかと思いますね。

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冨山:あと、実際にお店に行って選ぶという体験は今でも大きいですよね。パソコンやスマホで検索して出てきたものを聴いたりその次に出てくるオススメを聴いたりするのと、お店の棚にCDがたくさん並んでいて、そこから気になるものを探すっていうことは、体験としては全然違う。つまり、体験としての買い物って話ですが、特に音楽の場合ものすごい量の情報がパノラマで視界に入ってきて、どんどん感覚が刺激される。まあ、そうやってついついいろいろ買ってしまうんですけど、そういう経験はまだ今のところネットではできないんじゃないかなぁと思います。

―確かにジャケ買いとかは、回数を重ねて面白くなっていくみたいなことありますよね。お金かかりますけど(笑)。

冨山:そうですね(笑)。でもその点で言えば、CDレンタルっていう仕組みはやっぱり悪くないんです。1曲単位で言うと、いわゆるダウンロード販売と比較しても、CDレンタルはそれなりに安いですし、私的複製の範囲でなら手元に残しておくこともできますから。

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―ところで、冨山さんは最近どんな音楽聞いてますか?

冨山:うーん、そうですね。最近、個人的に70年代リバイバルな流れが来てまして、アナログレコードブームにも乗っかって、それらをレコードで聴いています。

―もともとはどういう音楽がお好きなんですか?

冨山:まあ、何でも聴くんですが、基本はロックですかね。アメリカのパール・ジャムってバンドが大好きで、ここ2年ほどは行けてないんですが、ほぼ毎年、海外まで見に行ったりしてます。

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―最後に、今後のことを。もはやCDレンタルの衰退とか通り越して、逆に多くの音楽ファンにとって貴重な場所になっていると思いますが、これからも今のままで続けていく感じですか。

冨山:そうですね。お客様に支持していただける限りは続けていくと、社長も言っています。もちろん僕自身も、単に自分の職場という以上に、1人のリスナーとして続いていければいいなと考えてます。だからこれからもみなさんに支えてもらえるように、店として応えていきたい。願わくば、そういう人たちが途絶えなかったらいいなぁと。

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文:岩淵拓郎(メディアピクニック) 写真:米田真也(anthem photoworks)


THE BORROWERS

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。