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今秋、阪急うめだホールで行われた『UR ひと・まち・くらしシンポジウム』において、さまざまなUR団地の事例が報告されました。その中でも、団地に住まう方とURの職員が登壇して、対話を行うプログラムが好評でした。
「ここでしか味わえない暮らしかた ― MUJI×UR 居住者さんに聞く。暮らしてから、その後 ― 」と題して行われた、このプログラムの様子を再編集してお届けします。


登壇者・左から、千里青山台団地にお住まいの加村さん、Sさん、石村さん 香里団地にお住まいの日笠さん
司会:片岡有吾(UR都市機構西日本支社 技術監理部企画課)

  

片岡:「MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト」というのは、5年前からMUJI HOUSEさんと連携して、もともとあったUR団地の住戸の中を「こわしすぎず、つくりすぎない」という考えのもとでリノベーションしています。たとえば、鴨居だとか、そういうものを残しながら、白を基調とした住戸へと変えています。今回は、そのMUJI×URにお住まいのみなさんにお越しいただきました。
最初に、Sさんにお聞きします。千里青山台団地のMUJI×URへの入居はどんなきっかけだったのでしょうか。

  

Sさん:私たちが住みたかった条件にこのエリアが当てはまったので、そこからMUJI×URをネットで見つけて、惹かれたのが最初のきっかけです。見学に行った際には人気で空きがなかったのですが、その後の第二次募集だったと思うんですけど、そのときに、先着順でいいところを探して入居することができました。

片岡:Sさんのお住いは緑のじゅうたんがすごくきれいですね。お気に入りのポイントなどありますか。

Sさん:最初、この部屋に入ったときに、天井が少し低くて圧迫感も感じたんですが、周辺に緑が多いことや、空間がしっかり確保されていることもあって、住めば住むほどとても部屋を広く感じるようになってきました。
両側にある窓から見える緑は、桜の時期には真ピンクに変わるように四季によってもどんどん景色が変わるので、中から外を見ることがとても気に入っています。

片岡:そして台所には……豚肉ですか?

Sさん:あ、そうですね(笑)。ちょうどキッチンの換気扇のところにS字フックをかけられる場所があるので、豚バラブロックを吊るして熟成させています。

片岡:次は、加村さんのお住いの写真です。台所のテーブルはくっつけて使われていますね。

加村:白いテーブルがMUJI×URの特徴で、これが自由に動かせるようになってるんですけど、ウチでは台所につけてご飯の準備をしたり、洗い物を置いたり、台所の延長として使っています。

片岡:そしてこちらの写真は、遊具を吊って子供さんが遊ばれているところですね。

加村:鴨居が残っているんですが、そこで部屋をつなげられるので、洗濯ロープを吊って子供も遊べるようにしてます。

片岡:MUJI×URでは、住人さん同士がふれあう機会もつくっています。千里青山台団地では先日、座談会を行いましたが、加村さんはこの座談会で聞きたかったことってどんなことでしょう。

加村:どうやって収納を工夫されてるのかなっていうことと、知り合いもなく、初めて住む場所だったので、青山台の団地でみなさんがどんな過ごしかたをされてるのかなっていうことが聞いてみたくて参加しました。

片岡:Sさんは座談会ではどんなことを?

Sさん:天井から籠のようなものを吊ってる方がおられて、どこで買って、どうやってるのかを聞いたりしました。

片岡:Sさんご夫婦と加村さんご夫婦は、このときの座談会で初めてお知り合いになったそうですね。

Sさん:どんな人が参加しているのか、まったくわからずに顔を出したのですが、私たちはこれをきっかけにして、集会所などで開かれるいろんなイベントにも少しずつ顔を出すようになりました。そこに加村さんも来られているので、お話をするようにもなってきて。よいきっかけになったので、すごくうれしく思っています。

片岡:素敵ですよね。千里青山台団地では、建築家の伊東豊雄さんとともに「ITO×UR みんなの庭プロジェクト」を行っています。このプログラムでは、住人さんが団地の屋外に小さな庭を持って、そこでいろんな関係性、人のつながりを育んでいきましょうというものです。開始当初から石村さんは参加してくださっています。

石村:「みんなの庭」は、誰でもが自由に集まれる場所ですけど、私は「ハーブの庭」に参加しています。
7人のメンバーで月に1回集まって、いろんな活動をしています。たとえば、ポプリをつくったり、育てたハーブの収穫祭を実施して、ハーブ料理やハーブの調味料を配ったりもしています。
最近では、我々の隣にある「子ども会の庭」さんと一緒に、流しそうめんを実施しました。

片岡:違う「庭」に参加している方どうしも交流されているんですね。

石村:そうですね。楽しく活動しているというのが今の状況ではないでしょうか。今後は、さらにいろんな年代の方々と活動をしていけるような場であればいいなと思っております。

片岡:ありがとうございます。先ほど紹介した座談会では、石村さんが庭で採れたハーブを使ったハーブソルトを振舞っておられましたけど、Sさん、いかがでした?

Sさん:ハーブソルトを使ったスープをいただきました。とっても美味しかったですね。で、そのつくり方を聞いて、家で挑戦してみたらすごく香りがよくて、「こんなハーブを団地で育てているんや」ってまた見に行ってみたりとか、楽しみが広がりました。

片岡:Sさんと加村さんは、座談会で「みんなの庭」のことをを知られたんですよね。その後、Sさんは「緑の庭」、加村さんは「アーチの見える庭」をつくられたと聞きました。

Sさん:団地の掲示板に、「『みんなの庭、やりたい人は連絡ください」というポスターがあったので気にはなってました。その内容を座談会で知って、私もちょっとやってみたいと思うようになりました。あとはもうひとつ、部屋から外の景色がよく見えるんですけど、部屋の下にお花があると毎日眺めていても楽しいかなって、軽い気持ちでやってみたのが始まりでした。

片岡:軽い気持ちとはいいつつ、いろいろと真剣にされてるみたいですけども。

Sさん:最初は軽い気持ちだったんですけど、「レンガ積みもできるよ」と教えていただいたりして、モルタルをこねるのとかもやってみたくなって、花壇をレンガでつくるところからやりました。

片岡:それは旦那さんとご一緒に?

Sさん:そうです。もともと主人はやる気がなかったんですけど、やりたいって急に言い出して(笑)。モルタルの硬さはどれくらいがいいのか職人さんに教わりながら、できるかぎり自分たちでやりました。

片岡:「緑の庭」が完成して、部屋から見える景色はいかがですか。

Sさん:毎日見てますよ。朝起きたら、とりあえずカーテンを開けて、今日はお花がどんな感じかを見て。1日1度は花壇まで行って、様子をチェックしています。私たちはここに誰も知り合いがいなかったんですけど、庭ができてから他の方と話す機会が生まれました。たとえば、「なでしこの庭」をされてる方がお花のことにとても詳しくて、いろいろ教えてくださるんです。

片岡:実際、いろんな人と話をする場所になっている。

Sさん:はい。全然知らない方がお花を覗きこんでたりもしますので。私も前を通るたびに必ず見ていきますし、楽しみですね。

片岡:つづいて、加村さんの「アーチの見える庭」のことをお聞きします。ご自身で庭を始めるきっかけがあったそうですね。

加村:部屋の目の前にかなり広いスペースがあって、花壇らしきものもあるけど雑草が生えてる状態だったので、引越した当初から「もったいないな」と思っていました。
それで、「みんなの庭」のことを聞いて、私もそのスペースをちょっとなんとかしたいと思って、まずはチューリップを植えて、今年の夏はヒマワリを植えました。

片岡:周りの方の反応というのはどんな感じですか。

加村:下の階に同じ世代の子供がいるご夫婦が住んでいるんですが、その方たちが僕らがやっているのを見て興味を持たれて、「みんなの庭」に参加されるということがありました。知り合いができてくると、「みんなのテーブル」と呼ばれる集会所が自由に使えるので、そこでバーベキューもしました。

片岡:ペチュニアの花は、石村さんも育てられてるそうですね。

石村:はい。集会所の玄関前と2階で、33コのプランターを使ってペチュニアを育てています。私を含めた3人のおじさんでやってるんです。

吹田市には、集合住宅のベランダを花で彩ると助成が出るという素敵な制度があって、私からおふたりに声をかけて始めました。やっていると、植え付けのときに子供会の方が手伝いに来てくれたり、市の「花とみどりの情報センター」の方に育て方の指導をしていただいたり。やっぱりここでも新しいつながりができたのは非常によかったです。おかげさまで、とても見事に咲きました。

Sさん:写真で見てもほんとにすごいですけど、実際に見てもらうとさらにきれいです。

石村:この花をお手入れしていると、通りがかったまったく見ず知らずの方から「育ててくれてありがとう」とか、「これ、なんていう花?」とか声をかけてもらって、いろいろ会話がはじまります。

片岡:そうなんですね。

石村:普段なかなか話す機会がないですけど、お花がきっかけになって話す機会ができるというのはとてもよかったなと思います。

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今秋、阪急うめだホールで行われた『UR ひと・まち・くらし・シンポジウム』において、さまざまなUR団地の事例が報告されました。その中でも、団地に住まう方とURの職員が登壇して、対話を行うプログラムが好評でした。
「ここでしか味わえない暮らしかた ― MUJI×UR 居住者さんに聞く。暮らしてから、その後 ― 」と題して行われた、このプログラムの様子を再編集してお届けします。


登壇者・左から、千里青山台団地にお住まいの加村さん、Sさん、石村さん 香里団地にお住まいの日笠さん
司会:片岡有吾(UR都市機構西日本支社 技術監理部企画課)

片岡:「MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト」というのは、5年前からMUJI HOUSEさんと連携して、もともとあったUR団地の住戸の中を「こわしすぎず、つくりすぎない」という考えのもとでリノベーションしています。たとえば、鴨居だとか、そういうものを残しながら、白を基調とした住戸へと変えています。今回は、そのMUJI×URにお住まいのみなさんにお越しいただきました。
最初に、Sさんにお聞きします。千里青山台団地のMUJI×URへの入居はどんなきっかけだったのでしょうか。

Sさん:私たちが住みたかった条件にこのエリアが当てはまったので、そこからMUJI×URをネットで見つけて、惹かれたのが最初のきっかけです。見学に行った際には人気で空きがなかったのですが、その後の第二次募集だったと思うんですけど、そのときに、先着順でいいところを探して入居することができました。

片岡:Sさんのお住いは緑のじゅうたんがすごくきれいですね。お気に入りのポイントなどありますか。

Sさん:最初、この部屋に入ったときに、天井が少し低くて圧迫感も感じたんですが、周辺に緑が多いことや、空間がしっかり確保されていることもあって、住めば住むほどとても部屋を広く感じるようになってきました。
両側にある窓から見える緑は、桜の時期には真ピンクに変わるように四季によってもどんどん景色が変わるので、中から外を見ることがとても気に入っています。

片岡:そして台所には……豚肉ですか?

Sさん:あ、そうですね(笑)。ちょうどキッチンの換気扇のところにS字フックをかけられる場所があるので、豚バラブロックを吊るして熟成させています。

片岡:次は、加村さんのお住いの写真です。台所のテーブルはくっつけて使われていますね。

加村:白いテーブルがMUJI×URの特徴で、これが自由に動かせるようになってるんですけど、ウチでは台所につけてご飯の準備をしたり、洗い物を置いたり、台所の延長として使っています。

片岡:そしてこちらの写真は、遊具を吊って子供さんが遊ばれているところですね。

加村:鴨居が残っているんですが、そこで部屋をつなげられるので、洗濯ロープを吊って子供も遊べるようにしてます。

片岡:MUJI×URでは、住人さん同士がふれあう機会もつくっています。千里青山台団地では先日、座談会を行いましたが、加村さんはこの座談会で聞きたかったことってどんなことでしょう。

加村:どうやって収納を工夫されてるのかなっていうことと、知り合いもなく、初めて住む場所だったので、青山台の団地でみなさんがどんな過ごしかたをされてるのかなっていうことが聞いてみたくて参加しました。

片岡:Sさんは座談会ではどんなことを?

Sさん:天井から籠のようなものを吊ってる方がおられて、どこで買って、どうやってるのかを聞いたりしました。

片岡:Sさんご夫婦と加村さんご夫婦は、このときの座談会で初めてお知り合いになったそうですね。

Sさん:どんな人が参加しているのか、まったくわからずに顔を出したのですが、私たちはこれをきっかけにして、集会所などで開かれるいろんなイベントにも少しずつ顔を出すようになりました。そこに加村さんも来られているので、お話をするようにもなってきて。よいきっかけになったので、すごくうれしく思っています。

片岡:素敵ですよね。千里青山台団地では、建築家の伊東豊雄さんとともに「ITO×UR みんなの庭プロジェクト」を行っています。このプログラムでは、住人さんが団地の屋外に小さな庭を持って、そこでいろんな関係性、人のつながりを育んでいきましょうというものです。開始当初から石村さんは参加してくださっています。

石村:「みんなの庭」は、誰でもが自由に集まれる場所ですけど、私は「ハーブの庭」に参加しています。
7人のメンバーで月に1回集まって、いろんな活動をしています。たとえば、ポプリをつくったり、育てたハーブの収穫祭を実施して、ハーブ料理やハーブの調味料を配ったりもしています。
最近では、我々の隣にある「子ども会の庭」さんと一緒に、流しそうめんを実施しました。

片岡:違う「庭」に参加している方どうしも交流されているんですね。

石村:そうですね。楽しく活動しているというのが今の状況ではないでしょうか。今後は、さらにいろんな年代の方々と活動をしていけるような場であればいいなと思っております。

片岡:ありがとうございます。先ほど紹介した座談会では、石村さんが庭で採れたハーブを使ったハーブソルトを振舞っておられましたけど、Sさん、いかがでした?

Sさん:ハーブソルトを使ったスープをいただきました。とっても美味しかったですね。で、そのつくり方を聞いて、家で挑戦してみたらすごく香りがよくて、「こんなハーブを団地で育てているんや」ってまた見に行ってみたりとか、楽しみが広がりました。

片岡:Sさんと加村さんは、座談会で「みんなの庭」のことをを知られたんですよね。その後、Sさんは「緑の庭」、加村さんは「アーチの見える庭」をつくられたと聞きました。

Sさん:団地の掲示板に、「『みんなの庭、やりたい人は連絡ください」というポスターがあったので気にはなってました。その内容を座談会で知って、私もちょっとやってみたいと思うようになりました。あとはもうひとつ、部屋から外の景色がよく見えるんですけど、部屋の下にお花があると毎日眺めていても楽しいかなって、軽い気持ちでやってみたのが始まりでした。

片岡:軽い気持ちとはいいつつ、いろいろと真剣にされてるみたいですけども。

Sさん:最初は軽い気持ちだったんですけど、「レンガ積みもできるよ」と教えていただいたりして、モルタルをこねるのとかもやってみたくなって、花壇をレンガでつくるところからやりました。

片岡:それは旦那さんとご一緒に?

Sさん:そうです。もともと主人はやる気がなかったんですけど、やりたいって急に言い出して(笑)。モルタルの硬さはどれくらいがいいのか職人さんに教わりながら、できるかぎり自分たちでやりました。

片岡:「緑の庭」が完成して、部屋から見える景色はいかがですか。

Sさん:毎日見てますよ。朝起きたら、とりあえずカーテンを開けて、今日はお花がどんな感じかを見て。1日1度は花壇まで行って、様子をチェックしています。私たちはここに誰も知り合いがいなかったんですけど、庭ができてから他の方と話す機会が生まれました。たとえば、「なでしこの庭」をされてる方がお花のことにとても詳しくて、いろいろ教えてくださるんです。

片岡:実際、いろんな人と話をする場所になっている。

Sさん:はい。全然知らない方がお花を覗きこんでたりもしますので。私も前を通るたびに必ず見ていきますし、楽しみですね。

片岡:つづいて、加村さんの「アーチの見える庭」のことをお聞きします。ご自身で庭を始めるきっかけがあったそうですね。

加村:部屋の目の前にかなり広いスペースがあって、花壇らしきものもあるけど雑草が生えてる状態だったので、引越した当初から「もったいないな」と思っていました。
それで、「みんなの庭」のことを聞いて、私もそのスペースをちょっとなんとかしたいと思って、まずはチューリップを植えて、今年の夏はヒマワリを植えました。

片岡:周りの方の反応というのはどんな感じですか。

加村:下の階に同じ世代の子供がいるご夫婦が住んでいるんですが、その方たちが僕らがやっているのを見て興味を持たれて、「みんなの庭」に参加されるということがありました。知り合いができてくると、「みんなのテーブル」と呼ばれる集会所が自由に使えるので、そこでバーベキューもしました。

片岡:ペチュニアの花は、石村さんも育てられてるそうですね。

石村:はい。集会所の玄関前と2階で、33コのプランターを使ってペチュニアを育てています。私を含めた3人のおじさんでやってるんです。
吹田市には、集合住宅のベランダを花で彩ると助成が出るという素敵な制度があって、私からおふたりに声をかけて始めました。やっていると、植え付けのときに子供会の方が手伝いに来てくれたり、市の「花とみどりの情報センター」の方に育て方の指導をしていただいたり。やっぱりここでも新しいつながりができたのは非常によかったです。おかげさまで、とても見事に咲きました。

Sさん:写真で見てもほんとにすごいですけど、実際に見てもらうとさらにきれいです。

石村:この花をお手入れしていると、通りがかったまったく見ず知らずの方から「育ててくれてありがとう」とか、「これ、なんていう花?」とか声をかけてもらって、いろいろ会話がはじまります。

片岡:そうなんですね。

石村:普段なかなか話す機会がないですけど、お花がきっかけになって話す機会ができるというのはとてもよかったなと思います。

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THE BORROWERSとは

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。