多屋澄礼(音楽ライター、翻訳家)

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#2 京都で自分の好きな空間を

東京から京都へ移住した多屋澄礼さん。
先日、発売された著書『New Kyoto 京都おしゃれローカルガイド』は、
単なるガーリーなガイドブックでは収まらない内容でした。
彼女の、京都の街への視点が気になります。

#1 はこちら

―『New Kyoto 京都おしゃれローカルガイド』に載っているお店、どんな基準で選んだんでしょう。

多屋:いま29歳なんですけど、同じ世代のひとが京都でどんなお店に行きたいかなって考えて。京都のガイド本って“ほっこり”を目指したものばっかりな気がしたので、“ほっこり”じゃない京都の本ができないかなって。

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―なるほど。いわゆるガーリーではないお店、焼肉屋さんだって載ってますよね。

吉田類的なお店も好きですね。『孤独のグルメ』も好きだし、ひとりで焼肉屋さんにも行きますよ。京都は、おしゃれなお店ばっかりだけじゃないし、ヘンなひともたくさんいる(笑)。そんなひとたちがみんな近しいところでつながってるところが面白い。おいしいこともそうだけど、やっぱり店主の面白さも大事(笑)。

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実は、五条モールには2号館も。こちらは、飾り窓が味わい深い。1階には珍しいポン酢専門の料理店、他にも古着店やデザインオフィスなどが入居中。

―それじゃいま、ヘンな京都人に囲まれている?

そうかもしれないですね(笑)。私のことも、東京ではそういう仕事をやっててスゴいですねとか言われることも、京都だとよくわからないことをやってるひとっていう扱い。その感じがちょうどいいんですね。

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五条モールすぐそばにある梅の湯。京都の銭湯カルチャーを盛り上げる!と先日、再オープン。五条、今ホットです。

―移住してから1年半ほどですが、いま京都の街に感じるところは?

やっぱり東京に比べたらチェーン店がそれほど多くないし、個性的なこだわりのお店が多い。チェーン店も嫌いじゃないですし、近くにサブウェイができて、ちょっと嬉しかったり(笑)もしますけど、でも、個人のお店の方が面白いし、応援したい。なによりそこに意味を見出すことが好きなんですね。

―どういうことです?

なんとなくお店に行くというより、自分の好きな場所を確保するというか。結局、自分の店(Violet And Claire)もそうなんですよ、自分の好きなものを並べてその空間に安心する。それと同じで、自分の生活圏に好きな店がバリアみたいにあると、そこに行けば楽だし、安心する。

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小さくて見落としがち? 五条大橋の西側には弁慶と牛若丸がいまも決闘中。

―なるほど。つまり、『New Kyotoローカルガイド』に載っているのは、澄礼さんのバリア、安心できるお店でもあるんですね。

この場所に行くならあのお店に寄れるな、とか。自分の中にある好きな店をつないで、ルートをつくったりもします。雑誌に載ってるお店に行っても、(誌面と)実際は違うし、自分で行ってみないとわからない。自分が好きだと思えたら有名なお店じゃなくても全然いいし、なんだったらチェーン店でもいい。ちなみに私は、(餃子の)王将は北白川店を愛してます。

―あの広い王将の店だって京都ですからね。

あと、本を作ってみてわかったんですけど、京都は不定休のお店、多すぎ(笑)。

―たしかに。でも、澄礼さんのお店もひとのこと言えないかも。

まぁ、そうなんですけどね(笑)。

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文:中村悠介 写真:沖本明

参考図書

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多屋澄礼
『New Kyoto 京都おしゃれローカルガイド』
スペースシャワーネットワーク
移住してきた多屋澄礼さんならではの目線で、古くからのお店も新しいお店も等しく紹介されている。とりわけ、登場する店主たちの個性は粒ぞろい。当サイトで取材をした柴山留佑さん(記事→)ももちろん登場されています。


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