1. お勝手調査、はじまるよ~

誰かの家に行くとキッチンを見たくなる。それは、私が食いしん坊で料理好きだからということもあって、どんな道具を使っているの? 調味料は? 変わった食材はないか? 調理台の広さは? オーブンは何を? など、他人のキッチンを見て、聞いてみたいことが山ほどある。
そして、もうひとつの理由。
キッチンというのは、「システムキッチン」にしても賃貸の備え付けのキッチンにしても、誰かにとって使い勝手のいい、けれど多くの場合、自分には当てはまらないキッチンがほとんどで、どうにも住み手にぴったりとこないところがある。シンクの位置が高すぎたり、調理台が狭かったり、コンロがひとつだけだったり…。
しかし、そんな不自由がある環境だからこそ、工夫の入りこむ余地があり、見逃せないのだ。なぜなら、その工夫や使い方からは、どうしたってその人が透けて見えてくるから。

住まいの中でリビングやダイニングがメインストリートだとすれば、新旧さまざまな個性が雑多に並ぶ裏路地、とまでいかずとも、個が見えてくる路地の位置がキッチンだと思うし、私はそこが好きだ。そして、料理の話をしている人の姿はいきいきと感じられることが多くて、その言葉には嘘がない。と思うのは、私が料理好きだからかもしれないが…。だけど、キッチンのシンクがただの手洗い場で、冷蔵庫にはビールとつまみくらいしか入っていない家主が相手だったとしても、私のその気持ちに変わりはない。

どんなキッチン、台所、お勝手でもいい。あなたのキッチンを見せてください。

 
2. キッチンの窓へつづく

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THE BORROWERSとは

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。