11. 居心地のいいキッチン

白い壁にコの字型デシャップ台には、さまざまな調理器具や、妙に長い袋に入ったパスタがきれいに並ぶ。
そんなキッチンでデザートを作るふたりの動きをみていると、大先輩にこんな表現はどうかと思うけれど、仲睦まじい。一見するとキッチンでの主導権はえり子さんにあり、指図される旦那という構図にも思えるが、そこには、そばにいる私にもちゃんと伝わる愛があった。

こちらの厚かましいお願いにも関わらず、快くお付き合いいただいたヴェルンハルト夫妻にはただただ感謝しかない。
ほんの数時間の間だったけれど、私にとってふたりの使うキッチンは、とても居心地の良い場所でもあった。それは、キッチンとは家族やゲスト、またはスタッフとのコミュニケーションの場というえり子さんのスタイルが伝わったからかもしれない。 
白い扉がついたキッチンでも、いつでも誰もが入ってこれるくらいのスペースなんだろう。そんな勝手な想像をしてみた。

INFO
ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川(Goethe-Institut Villa Kamogawa)
京阪の出町柳駅と神宮丸太町駅の中間の鴨川沿いにあるドイツの文化機関。毎年3回ドイツの芸術家を招聘し創作活動の場を提供し、日本との文化交流を行っている。2017年第3期は9月14日~。ちなみに、マルクスさんは、東アジア地域の赴任地を転々とし、はやもう23年。その間、本部のミュンヘンに戻らずというのは、かなり珍しいとのこと。
●京都市左京区吉田河原町19-3 http://www.goethe.de/ins/jp/ja/kam.html

『Creators@Kamogawa』
日時:2017年10月21日(土) 15:00
会場:ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川、ホール
入場無料、申込不要、日独同時通訳付
問い合わせ:075-761-2188

*第3期招聘アーティストを交えたトークイベント
第1部「光のアート」
トビアス・デームゲン(美術家)、クワクボリョウタ(美術家)、小崎哲哉(司会)
第2部「文学を超えて」
ディーター・M・グレーフ(作家、詩人)、吉増剛造(詩人)、小崎哲哉(司会)

文:松村貴樹 写真:平野愛 編集:竹内厚

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THE BORROWERSとは

借り暮らし、貸し借り、賃貸にどんな可能性がひそんでいるのか。多彩に活躍する方々へのインタビュー取材を通してその魅力に迫ります。いいところ、大変なところ、おもしろさ、面倒くささ…きっといろんなことが浮かび上がるはず。