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#2 悩みで広場ができる

#1 はこちら

―『バイトやめる学校』の反響はどうですか。本を読んだ感想を送れば、その文字数と“等価交換”で『バイトやめる学校2』の内容を送るといって、メールアドレスも公開されてましたけど。

陽光:いっぱいメールが届いて、みんなの悩みをしょいまくっていて。めちゃ楽しいんだけど、やっぱりその内容は自己顕示欲とか私の承認欲求を認めてくださいって人が多いんですよね。実質、20人くらいとやり取りしてます。

―それぞれの相談や悩みに対して、こうすればバイト辞められる、仕事辞められるんじゃないのってやり取りを続けられてるんですよね。そこでの山下さんのモチベーションは何ですか。

陽光:そうやって僕みたいな人があと20人増えたら最高じゃないですか。この20人がいやいや働いてた8時間×20日が楽しい時間になって、しかもこの人たちが誰かを雇えるようになったら…って、この“嫌なことをしないネズミ講”はヤバいでしょ。地ならしみたいなことで言うと、たぶんそこからじゃねえかなと思うんですよ。

後ろから見てるのは、娘さん。父と遊びたい。

この20人からお金とることもできるんだけど、それをやってしまうと売る人とお客さんになっちゃって、あんま笑えない、というか面白くない。だから、ここはやせ我慢でもぐっとこらえて、お金とらずにこの20人が面白くなったら、どんどん広がっていくだろうなって。自分の本を読んだことで会ったこともない20人が動いてるってだけでも、ちょっといい感じですよ。

―本やインターネットでの発信というのは、1対1のコミュニケーションを越えて、予想外のところまで届くからこそやってるところもありますもんね。

陽光:そこで面白いのが、今までもたぶんこれからも、悩みってめっちゃお金になるんですよね。太ったからやせたい、モテない、ダサい、お金がないとか、それって全部お金を払ってでも解決したいんですよ。だけど、これまでは結構、閉じられていたというのかな。

―悩める個人対それを解決しますよという商品や企業との関係だけがあって、悩んでいる個人同士がつながる機会は積極的にはありませんね。

陽光:それが、本を出してからいろんな人の悩みを聞いてると、こっちで悩んでる人とあっちで悩んでる人が出会ったら、それだけで解決するんじゃないかなってことが結構あるんですよ。だから、悩みって数が集まると、意外とそこでつながる感じがあるなって。悩みを可視化して、ちょっと俯瞰して見てみることで解決できることもあると思います。

しかも、これって僕の立場は「謎のお節介おじさん」じゃないですか。悩みをどんどん聞きますよっていう。でも、「オレもその悩み聞きたい」っていう、こっちの「お節介おじさん」の立場になりたい人もいるんです。そういう人に相談されてる内容を転送すると、すげぇ丁寧な回答メールが届いたりするからね。

―「お節介おじさん」の需要があるなんて、なかなか気づく機会ないですね。商売になるわけでもないですし。

陽光:きっとそういうこと。今まではいろんな利害関係があったんだけど、インターネットを介すると、意外とそこが全部オープンになって、最高の広場になるんじゃないかと思うんです。
だから反対に、みんな少し閉鎖して会員制とかにしてお金をとるんだけど、あえてお金をとらずにやるのがたぶん面白くて。

―悩みつながりの悩み広場。『バイトやめる学校』でそんな仮想広場が生まれつつあるんですね。しかも、どこかでリアルに会うという違う展開がこれから生じるかもしれない。

陽光:ちょっと話変わりますけど、最近、食べログをすげぇ見てるんです。食べログって有料会員になってます?

―いえ、なってないです。

→#3 もう札は配られた(2017年10月18日公開予定)


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