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最近、立て続けに2件、下宿の活用の相談を受けた。ここでいう下宿とは、水回りが共同で、部屋が分かれていて、木造建て。いわゆる典型的な下宿のこと。そのほとんどが空室になってきているのだという。
 
考えてみると、昔の下宿は門限やルールも厳しい。それでも安さが魅力だったが、下宿の家賃相場は2~3万円といったところだとして、プラス1万円ほど払えば、小さくてもこぎれいなマンションに住むことが可能だ。それで煩わしさがなくなるとすれば、安さの魅力もかすむ。下宿が空き家になるのは、時代の流れからしたら当然とも言える。
また、京都は学生の街であり、同じエリアに下宿が集中している。そして、建築年もほぼ同時期のため、建物を活かすか潰すかの判断に迫られるのも同時期。つまり、今まさにこの問題に直面している建物が京都にはたくさんあるのだ。
 
ただ、多くの大家さんが簡単に潰す選択を採らないのも事実。なぜなら、下宿には管理人の想いが上乗せされているから。普通の賃貸以上に管理する大家さんとの関わりが深い。今でいうシェアハウスの原型が下宿にあると思う(建物面だけでなく精神面でも)。
 
そんな下宿をどう活用できるか。建築法規上、下宿は寄宿舎扱いとなっているのでシェアハウス等への転用もしやすい。室数を10室ほど確保した一定のボリュームのある建物が多いので、住居・事務所・店舗を複合した施設にすることも可能。長く若い人を受け入れてきた背景は、新しい事をはじめるにあたっても地域の人に説明がつきやすい。
下宿の可能性はまだある。決して負の遺産にはさせたくない。

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岸本 千佳
1985年京都生まれ。建築を学んだ後、東京の不動産ベンチャーに勤務、2014年より京都に戻り、フリーで不動産の企画・仲介・管理を行う。現在は、堀川団地再生や京都移住計画、DIYPなど不動産の有効活用の立場から、豊かな暮らしを提案中。

カリグラシコラム

そのことを仕事にしている人もいれば、普段の暮らしの中でモヤモヤとした思いが浮かんでいる人もいる。借り暮らしにまつわる意見や考えを、さまざまな人たちが自由なスタイルで綴ります。