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いつも妄想めいたことばかり書いていますが、本業は不動産屋なのでたまにはリアルなお話も。不動産価値ゼロだった駐輪場がバーになってしまったというお話。
もともとは大家さんから、マンションの上階の住居部分の募集を頼まれたのだが、ついでに1階の駐輪場を見せてもらった。ただの駐輪場と言えばそれまでだが、私にはものすごくカッコ良く映り、「ここ貸しましょう!」とオーナーさんに掛け合ってしまった。いい感じに味わいのあるマンションビルの駐車場を抜け、さらに奥に進むと待ち受けるネイビーの鉄扉。決して万人受けするわけではないが、ハマる人にはハマると思った。

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(c) diyp.jp

早速、手持ちのサイトにアップしたら、その日の晩に問い合わせが。見に来たのは、既に飲食店を経営しているお兄さん。中を見て10分、「俺、ここでバーやろっかな」とぽつりつぶやいた。ハマる人にハマったことが実証できたことがまず嬉しかった。そして、徒歩5分の所に住む私にとっては自分事としても嬉しかった。「私がお客さん連れてきます!」。この周辺には夜飲める店が少なく、心からの言葉だった。

そうして、先月7月に本オープンを迎えた。ご近所さん向けのお披露目会には、たくさんのご近所マダムも来てくれた。ご老人も若者も混じってオシャレすぎるバーで飲んでるのは、何とも微笑ましい。建物が活き返った瞬間だった。

見失われた場所って街の中にはたくさん存在している。その中には見る人によってはグッとくる「光る原石」のような場所も結構ある。それを不動産的方法で解決するのが私の役目だと思っているし、その価値を何倍にも変換してくれるのは使ってくれる人なんだなと思う。

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屋内用として一部使われていた駐輪場をバーに。現在、このマンションの駐輪場は屋外に統一されている。

岸本 千佳
1985年京都生まれ。建築を学んだ後、東京の不動産ベンチャーに勤務、2014年より京都に戻り、フリーで不動産の企画・仲介・管理を行う。現在は、堀川団地再生や京都移住計画、DIYPなど不動産の有効活用の立場から、豊かな暮らしを提案中。

カリグラシコラム

そのことを仕事にしている人もいれば、普段の暮らしの中でモヤモヤとした思いが浮かんでいる人もいる。借り暮らしにまつわる意見や考えを、さまざまな人たちが自由なスタイルで綴ります。