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飯島と申します。「hoge tapes」というカセットテープのレーベルを運営しています。「賢いユリシーズ」や「魚雷魚」というバンドに参加したり、「Jap Kasai」という名前で気の抜けた音楽を作ったりもしています。平成生まれの自分にとって、カセットテープはあまり馴染みがありませんでしたが、知れば知るほど奥が深く、おもしろい。

もともとアナログは好きで、レコードもよく聞いていたのですが、カセットテープにはそれとはまた違った魅力があります。一番大きな違いだと思うのは、カセットテープは自主製作が容易だということです。そのため、自分が思いついたことをすぐ形にできる。カセットテープ世代の人たちに話を聞くと、必ずと言っていいほど、自作のミックステープの思い出を話してくれます。

以前、梅田のロフトで「大ラジカセ展」という催しがありました。四方八方に並ぶおびただしい数のラジカセにも目を奪われましたが、個人的に気になったのは、著名人が所有しているカセットテープを展示するコーナー。その一角からただよう、なんともいえない「部屋感」。自分の趣味趣向によって編集され、使い込まれたカセットテープには、脱いでそのままの寝間着や、読みかけのマンガが散らかった「自分の部屋」のような適当さと密室感がありました。その一角を前に、カセットテープという媒体のもつおもしろさを改めて感じました。

低音と高音が程よくカットされたマイルドな音質も、もちろんカセットテープの魅力のひとつではありますが、自分の「人となり」をぶち込むのに、これほど良い媒体もない。しかもそれが個人的なものであればあるほどおもしろいのも不思議です。容易にデータ化できないカセットテープの不便さも、ここではひとつの強みになっています。

個人的な営みを強いるカセットテープは、否が応でも、音楽を聴くために、わざわざ、「自分自身でやる」ことが増えてきます。そういう経験は、自分にとって貴重でした。むしろ音楽以外のいろいろなことを考える手助けにさえなりました。自分は、いろいろなことを、自分以外のものに任せすぎていました。
うまく言えませんが、大事なのは、「自分自身でやる」ということと、どういう風に向き合っていくか、ということだと思っています。連綿と続いてきた自主制作カセットテープの歴史を、パンクスやハードコアの人たちが担っていたのはそのことと無関係ではないと思います。

それができれば、実は媒体はなんでもよくて、カセットだろうがCD-Rだろうがネットレーベルだろうが同じです。要はそこに自分の魂をぶつけられるかどうか、ということです。それはもしかしたらお店だったり、食べ物だったり、花だったりするかもしれません。そんなに大きなことである必要はなくて、無理をせず、自分のできる範囲で続けられることがいいと思います。自分で何かをつくる喜びを大切にして、楽しく生活していきたいなと思っていますし、そういう価値観が広まっていけばいいなと思っています。

飯島大輔
カセットテープレーベル「hoge tapes」を主宰。
http://hogetapes.net/

カリグラシコラム

そのことを仕事にしている人もいれば、普段の暮らしの中でモヤモヤとした思いが浮かんでいる人もいる。借り暮らしにまつわる意見や考えを、さまざまな人たちが自由なスタイルで綴ります。