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音楽を作り、字を書き、ライブをしています。2016年ポエトリースラムジャパン大阪大会優勝/全国大会準優勝。ライブのお誘い、文章を書くお仕事を下さい。3月24日(日)14時15分開演、大阪・四天王寺前夕陽ヶ丘駅の称念寺でライブ出演。音楽を流しながら詩の朗読とラップをやります。是非遊びにいらして下さい。
http://kemurikikakuku.hatenablog.com

12月23日

はじめまして。私が、smoke(スモーク)です。「普段通りの日々で構いません」と編集の竹内さんからメールで言ってもらい、ありがたい事やなぁとすぐ返信したんですが「貴重や機会をありがとうございます」とさっそく文面で噛んでしまい始まる前から普段通りではない感じです。
僕はふだん、コンビニ夜勤で働きながら、パソコンで音楽を作り、詩を書いて朗読やラップをライブでしたり、カーテンズという南大阪のギターユニットが発刊する「カーテンズ編集部」というフリーペーパーでコラムを書いたりしています。またライフワークとして「kemurikikaku -煙企画-」というブログで日常を綴っています。これからの1週間で2桁噛むかもですがよろしくお付き合いを願います。
アマゾンプライムビデオで「シザーハンズ」を見た。子供の頃に何曜ロードショーかでやってるのを見た記憶がある。ほぼ初見の心持ち。ダークなディズニー風のオープニングから引き込まれまくり。「語り継がれる作品はちゃんとしとんなー」という印象。ジョニー・デップ扮するエドワードを見て笑顔の重要性を再認識。お話は往年のホラー映画に見る怪物の悲哀に満ちていた。ティム・バートン監督の高校時代のスケッチから生まれたというシザーハンズは、他者と交わりきれなかった青春の暗闇を投影してるらしい。
世界的な巨匠の話に乗っかるのはおこがましいけど、自分にも似たような経験があって、鬱屈とか、ルサンチマンとか言われるモヤモヤは表現と相性が良い時がある。気持ちがちょっと分かる気がして嬉しい。

12月24日

日付けが変わるころ、センボク2号線の一角にあるコンビニへ今夜もバイトに向かう。俺はここで週5週6夜を明かす。色々あって15年勤めた喫茶店をクビになり、まさかまた2号線でバイトをすることになるとは思いもよらなかった。立川談志は「まさかの坂が越えられないのが人生だ」と言っていた。これもそのまさかなのか。この期に及んでモラトリアムを謳歌したいわけでもなく、やりたい仕事が見つからないまま日銭を稼ぐ為の夜勤生活が数ヶ月前から始まった。
センボク2号線は飲食店が軒を連ねるこの町一番の大通り。この辺の高校生は初めてのバイトをたいてい2号線の飲食店で経験する。「センボクには無い」をミナミ、キタに求めて金を稼ぐことを覚えるのだ。俺も初めてのバイトは2号線の回転寿司チェーンだった。当時寿司が嫌いだったにも関わらず、すでに働いていた同級生に誘われるままになんとなく。酢飯の匂いが充満する職場でチマチマ働きゲットする5万円くらいの大金に毎月ほころんでいた。
寿司屋のバイトから18年経つ。16歳の少年は34歳のちっちゃいおっさんになっていた。町の景色もあの頃に比べてうっすら変化している。去年、駅前のダイエーを擁する建物が全て取り壊され、来年には新しい商業施設ができるという。2号線にもずいぶん色々の飲食店が増えた。俺はいつまでこの町に居るんだろう。それこそ18年ぶりくらいにふとそんなことを思った。ママチャリを転がす真っ暗な2号線。消灯後の灰色の電車が頭の上を走り抜ける。

12月25日

深夜になってもそんなに寒くない。職場のコンビニ自動ドアからジングルベルが漏れ聞こえる。「この時期はこういうの着てもらってるんで」とツナギ状になったサンタクロースかトナカイになることを命じられた。1番手前に吊ってあったサンタクロースを着て今夜もコンビニでチキンを作り、売っている。
若いお客さんに半笑いで「どんな気持ちなんですか?」と聞かれて「仕事ってかんじです」と答えると「そんなもんなんですね。頑張ってください」と励まされたり、常連さんには「またそんなん着させられて~」と不憫がられたりしながら過ごす。サンタクロースの格好になれてラッキーとは思わないけど、そんなに嫌な気持ちもしないのは問題なのかもしれない。考えてるうちにカラスかぁで夜も明ける。堂々とこんな格好するのも新鮮なものだ。あったかくていい感じなんだけどなあ。
朝になってふだん無口にテキパキ働くパートのおばちゃんがトナカイの着ぐるみを着て事務所から出てきた。ツノの立ったフードまでかぶって、いつも通りまじめにレジを打ってる姿は真顔でボケてるみたいだ。そういうことか。
「トナカイ可愛いですね」
「これ可愛いでしょ? 私は毎年これ着てるのよ」
そう言ってパートのおばちゃんはコーヒーマシンの鏡面仕上げになった部分を覗いた。楽しめたら悪くないことは多い。

2018年4月1日にスタートしたリレー日記です。1週間単位でさまざまな方に暮らしの日記を執筆いただいています。

カリグラシコラム

そのことを仕事にしている人もいれば、普段の暮らしの中でモヤモヤとした思いが浮かんでいる人もいる。借り暮らしにまつわる意見や考えを、さまざまな人たちが自由なスタイルで綴ります。