# # # #

父、おとうさん、パパ、親父……
その後ろ姿から
家族と住まいのことを見つめます。
ベベチオのはやせさんによる父さん話。

「ツツキ」という食べもの、知ってますか。うちでは、よう食卓に「ツツキ」が出てきました。思い出したように父さんが「今日はツツキ、食べたいな。あるか?」って。結局、それが何だったのかといえば、サツマイモを突いて、突いて、甘さを出してから、おにぎりみたいに丸めたもの。素朴な甘さなんだけど、僕もそれが好きになって、「ツツキ食べたい」と言ってた時期もありました。それを見て、父さんもまんざらではない顔で。「米ばっかり食べなあかんわけちゃうぞ。ツツキがあるんやからな」と得意げに話してました。
ただ、僕は芋が好きだっただけなのかも。ファストフード店へ行って、フライドポテトを「うまい! うまい!」って食べてたら、「こんなもん、ただ油で揚げてるだけやろ。これやったらツツキのほうがうまい。ポテトなんかいつでもつくったる」と父さんが言うんです。ツツキが得意な父さんのフライドポテトも食べてみたいから、「つくって!」と盛り上がるんだけど、父さんはなかなかつくらない。というかその後も、父さんがフライドポテトをつくってくれることは決してありませんでした。何度お願いしても「おう」って聞き流すか、「ツツキがあるやろ」で終わり。そのうち「もうな、芋は食べ飽いた」って言い始めるから、僕と父さんで根気比べみたいになってました。
食べものの話でいえば、父さんには肉を食べたら強くなるという信念みたいなものがあったと思います。その流れでうちにやってきたのが、ステーキブーム。僕も兄ちゃんも剣道をやって、全国大会に出るくらいだったんですけど、大会が近づいたりしたら、「テキ食うか」って言い始める。ステーキのことを、うちでは「テキ」と呼んでたんです。そんなときはステーキ肉を買ってきて、家で母さんが肉を焼くんだけど、レストランとかで出てくる牛の形をした肉料理を食べる鉄板、あれが家族4人分うちにはありました。そこだけ見たら豪勢な話。けど、貧乏なのにそんなところだけこだわって。いまでも、父さんの「テキ食え!」という声をときどき思い出します。

早瀬直久
音楽ユニット「ベベチオ」のボーカル&ギター。暮らしをもっと盛り上げる企画チーム「ragumo」の代表も。
ライブやイベントがあります。○10/7「いい1じかん」@ragumo(谷6) ○10/21「奇妙礼太郎と早瀬直久の弾き語りライブ」@tidepool(難波) ○10/27「宝塚音楽回廊2018」@末広中央公園(宝塚)
秋ですね。キノコしまくってます。 http://www.bebechio.com

イラスト:ちえちひろ 構成:たけうちあつし

  


<これからの予告>
07 ボウリング上手
08 黄金のインド鯉
09 振る舞い焼き肉

カリグラシコラムとは

そのことを仕事にしている人もいれば、普段の暮らしの中でモヤモヤとした思いが浮かんでいる人もいる。借り暮らしにまつわる意見や考えを、さまざまな人たちが自由なスタイルで綴ります。