美術館で貸したり借りたり

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普段は美術まわりの取材をしていることも少なくないのですが、先日、神戸で始まったばかりの「チューリヒ美術館展」を見ていると、はたと思い当たることがありました。
世界中の美術館の貸し借りネットワークのことです。

国内外の美術館を問わず、〇〇美術館展は頻繁に開かれていますし、作家の大規模な回顧展ともなれば、世界中の美術館、コレクターから作品が集められます。

それにともなう輸送費、保険代のことも興味津々ですが、一体何の作品を貸し出して、貸し出さないか。学芸員を含めた、そのあたりのやりとりがとても気になるところ。

ちょうど、昨日の朝日新聞には、1964年、東京と京都で行われた「ミロのビーナス」特別公開のことが出ていました。(*記事に添えられた写真も強烈!→http://www.asahi.com/articles/DA3S11580199.html
「ミロのビーナス」はこの時、ルーブルから国外に初めて持ちだされ、その作品1点のみの展示で、約170万人の動員ですよ。

記事の中で、高階秀爾さんが「これ以後、展覧会には目玉作品が必要という発想が定着した」と言われてるように、何を借りるかのセンスとネゴ力という点からも、学芸員の名前がもっと知れていいはず。借り上手なひともきっといるんでしょうね。

正直なところ、〇〇美術館展にはなかなか満足することが少なくて、その美術館が持っている100あるコレクションのうち、貸し出されているのが0.1%なのか、3%なのか知らないのですが、やっぱりいいのは貸してくれないのね、と思ったり、もう印象派はいいよ…と思ったり。
というところで、「チューリヒ美術館展」の話に戻りますけど、実際、展覧会は…相当よかった!

冒頭に展示された、セガンティーニ「虚栄(ヴァニタス)」からぐっと掴まれて、モネ、ヴァロットン、ココシュカ、シャガール、ジャコメッティ…とナイスな作品揃い。
どの作品もよかったじゃアホみたいなので、無理矢理にでもベスト1を決めておくと、マティスが娘を描いた「マルゴ」。 謎の帽子がかわいいです。。

「チューリヒ美術館展」は向こうにある美術館自体がとてもいいのか、展覧会に関わった学芸員の力によるものなのか、そのあたりはまた探っておきます。そして、美術館の貸し借りネットワークの取材もいずれやってみたいところ。

「チューリヒ美術館展」は神戸市立博物館で5月10日まで。

photo & text : Atsushi Takeuchi