引っ越し魔、そして菅原克己と高田渡

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引っ越しマニア、引っ越し魔…というひとにたまに出会う。
うらやましい。一度でいいから、そんな自己紹介をしてみたい。
つい無精なので居着いてしまうが、本当はそんな風に暮らせたらいいと思う。

江戸川乱歩、谷崎潤一郎、志賀直哉といった文豪たちは
生涯に30回とも40回ともいう引っ越しを繰り返したという。
だよね。それくらいはするよな。

借り暮らしがテーマのOURS.にとっても、
引っ越し案件は放ってはおけない。
なので、引っ越しという言葉に無意識に反応してしまう。

つい先日、古本市に出店していた神戸のトンカ書店で買ったのは、
菅原克己の詩集『陽気な引っ越し』。
表題の詩は巻末に載っていた。こんな風にはじまる。

荷物をまとめ終ると
いつもチャーハン、とくるのが
ふしぎだな。
おや、変なところから
出てきやがった。
古いラブ・レターのひと束。
ブランコにジャングルジムの
裏の児童公園とも、お別れだ。
さらば、オー・マイ・ベビイ。
気をおとすなよ、同志児童諸君。

菅原克己のちいさな詩集『陽気な引っ越し』
(西田書店・刊)より

なかなかの名調子、
今度、引っ越すようなことがあれば口ずさみたい。

ちなみに、
菅原克己の詩「ブラザー軒」は
高田渡が曲をつけて歌い、
それをさらに、ハンバートハンバートが歌ってもいる。

高田渡のことは、
ホホホ座の山下賢二さんが「文化の小窓」欄で推薦しているので
そちらの記事もぜひ。→http://ours-magazine.jp/culture/recommend-2/

20150523-4
詩人は1988年没。その全集から再編集して2005年に出された1冊。手頃なサイズ、詩の合間に建物の模型が挟みこまれるデザインもいい。編集・装丁・レイアウトは猫車配送所。

(文:竹内)