家族ってヤバイ!あべのまで寺田家を堪能。

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家族や住まいのすごさ、おもしろさ、とんでもなさを改めて思い知らされる。そんな展覧会が、現在、大阪・阿倍野にある[あべのま]で開催中。題して『祖父と祖母と父と母と姉と妹といつものこと』。

主役は寺田さん一家。そのご自宅から持ちだされた、家族それぞれの個性や人生がにじみ出た、細々とした物品が展示されている。たとえば、家族の写真アルバムや子ども時代に描いた油絵、手紙なんかは、まだまだ序の口。母の手製人形、エコバッグ、オカンアートの数々も、「作りすぎやで!」とツッコミを入れて楽しめる。庭の置物。ひいおじいさんの遺影。いつしか家にたまった、いくつものカニの甲羅。子どもの名前を考えるために候補を書き出した、何十年も前の達筆なメモ書き。尿道結石の石。…どう受け止めていいのかわからない、生々しい家族の痕跡モノが次々と目に飛びこんでくる。

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祖母、母、姉、妹がつくってきた人形類を集めた壁面。右上に写る柱は寺田家のリビングを再現したもの。

極めつきは、父にまつわる出展品だ。庭に大量発生した蚊を毎日毎日、撃退し続けてその数を正の字で記録(多い日は150匹超え!)、さらにグラフ化までした「蚊のグラフ」。昨年は4033匹を記録したという。また、65歳から自宅の半径100km圏内を歩きまわることを決めたそうで、その写真とリスト、地図などにのこされた約10年分の大量の記録にうなる。

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歩きながら父が撮影した大量の写真は、アルバムと高速スライドショーで確認できる。右側には映画館の半券が大量に。

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父が妹に車を買う際につくったという手づくり資料。

ちょうど会場におられた寺田就子さん(妹)に、父がやっているあれこれについて尋ねると、「話が長くなるので、家族の間ではあんまりちゃんと聞いたことがない」という答え。まさに、それこそ家族だなあと思う。こうして家の外に持ち出して、展示という形で紹介されると際立って見えるものの、きっと、家族にとっては「いつものこと」に違いない。

他人から見ればネタの宝庫。家族にとっては「いつものこと」。それが1軒の家に長年、積もり積もっているということ。そんな家族・ザ・ワンダーランドが見事に目の前で繰り広げられる展覧会。上に書いた以外にもまだまだ無数の寺田家ものが集められていて、母の手づくりエコバッグやメモ帳などの販売もあり。たっぷり寺田家におじゃました気になれるのでぜひ。

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『祖父と祖母と父と母と姉と妹といつものこと』
会期は7月5日(日)までの毎週金・土・日曜日
あべのま(大阪市阿倍野区阿倍野筋4-23-17)
http://abenoma.com/

+あべのまは、阿倍野にある長屋を改装したアートスペース。高橋さん夫婦が子どもと大人が出会える場として、日常生活の延長線上で企画を続けている。今回が1周年。
++今回の展覧会に協力している宮本博史さんは、家族にまつわる膨大なアーカイブを見事に編集、家の外へと持ち出すことを作品としているアーティスト。芦屋市立美術博物館でも、宮本家にあった大量のあれこれを展示した実績あり。
あべのま、宮本博史さんの今後にも注目―

(文:竹内)