DJ雑誌「家をせおって歩く」

# # # #

気になる雑誌の話をしよう。
3月号の『たくさんのふしぎ』は、とても“借り暮らし”的だった。村上慧・作の『家をせおって歩く』がそれ。

『たくさんのふしぎ』は、絵本でおなじみ福音館書店による月刊誌シリーズで、『こどものとも』『かがくのとも』なんかと同じ棚に並んでいることが多い。一連のシリーズの中でも、特にテーマと書き手の選択がフレッシュ&絶妙なところを持ってくるので、毎号、タイトルと書き手の名前だけでも見てしまう。

その3月号が『家をせおって歩く』。読んで字のごとく、自作した発泡スチロールの家を背負うというか、家をかぶって日本全国を歩いている村上さんの話。
新手の自分探しか…とつい警戒してしまうが、そんな面倒くさい意味などなく、ただただ家をせおって、全国を歩いているのがとてもいい。

そして、何より大事なのは、新しい土地に到着したら、まず家を置く土地を借りる交渉をすること。野宿ではなく、あくまでも家の引っ越しなので、公園や道路に無断で家を置くことはできないのだ、村上さん曰く。

家を置く土地を借りたら、今度は「間取り図」づくり。村上さんの家には眠る場所としての機能しかないので、銭湯やトイレなど、街で使えそうな場所を見つけてきて、それも含めて間取り図として描くという。

「家をせおって歩く」姿はなんとも滑稽に見えるが、行動のひとつひとつはとても理にかなっている。村上慧さんの家、ぜひとも訪ねてみたい。

『たくさんのふしぎ』福音館書店/667円+税

(竹内・記)

dj-2