DJ雑誌「murmur magazine for men」

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女性に人気の『murmur magazine(マーマーマガジン)』が男性版を発売したのが昨年5月。
その創刊号は、ミュージシャン・曽我部恵一の描いたコハル(柴犬)の絵を表紙にして、ツカミも十分。「僕たちがケータイを持たないワケ」なんて、興味津々の鼎談企画もあった。

なんだけど、メイン特集「不食と少食」がすごかった。
7年間食事も水も摂ってないという秋山佳胤さんのロングインタビューは、生きるためのエネルギーは「宇宙エネルギー、つまりプラーナから合成している」という話になり、次いで登場する、不食生活14年、実験思想家の肩書きを持つ山田鷹夫さんは、不食に続けて、寒さに耐える実験として新潟の自宅で、ほぼ裸、暖房なしの生活を送っているとか。

これがウワサの『murmur magazine』の世界観か、と。
すべてが真顔で語られるところも、一片の真実が含まれていたりするところも、決して嫌いじゃない、オカルト誌『ムー』とも隣りあうような印象で。
けど、雑誌の見た目はまったく違うし、すべてが自分の生活に反映しうるところがより強烈。
実際、自分もついつい、しばらく昼を抜く日々を過ごすことに…。

そんな『murmur magazine for men』、第2号が3月に発売された。
ドキドキのメイン特集は「A to Zで学ぶパーマカルチャー超入門」で、OURS.が掲げる「借り暮らし」に通じるところもかなりあったりして、収まりのいい印象。
それでも他に、ふんどしのススメや、赤裸々対談「語ろうハゲと薄毛のこと」という絶好のテーマ設定の企画があったりする中、自分的にいちばんのヒットだったのが、写真家・松岡一哲さんのTシャツ偏愛話だ。

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「Tシャツは育てるものである」とは松岡さんの信条。買ったTシャツをやさしく伸ばして、ヘタレ感を出し、ものによっては何年も寝かせてから着るのだという。
写真に写る松岡さんのTシャツを見ていると、「もう捨てるで」とおかんに言われそうな“ヨレT”揃い。

「これぐらいヨレヨレになると、ニルヴァーナの圧力も落ちて、安心して着られる」
「乳首が透けそうで透けないのもいい」
「育てていくうちに自然に空いた穴の存在が気に入っている」
「肌への圧が、ほぼ、ない」

など、松岡さんの各Tシャツに寄せるコメントもフルっている。

自分自身、謎のメッセージやデザインの入ったTシャツがまったく着れなくて、無地のものをこわごわと着るばかりの人生を送ってきたので、悩めるTシャツ人生に最高の道案内を得た気持ち。
だけどこれまで、せっかく育っていたTシャツがあっても、ヨレたり破れたら捨てるものってなんとなくの常識に負けて捨てちゃってたなぁ…と後悔も。

最後にOURS.につなげるとするなら、これって「Tシャツ」を「家」や「住まい」に置き換えても通じる話じゃないだろうか。

松岡一哲さんのヨレT愛について紹介した文章を一部、引用するので、Tシャツや服を→家、着るを→住まう、に変換してみてほしい。
ほら、どうでしょう。…無理がある?

“Tシャツ自身、もしくはTシャツをつくったデザイナーがもつ「こう着てほしい」「こんな格好になってもらいたい」という意図をことごとく鎮めてから着用するのだ。そのうえで、Tシャツそのもののもつ、純粋な部分と真っ向から向き合い、やさしく時間をかけて育てていく。
服を着るときの主人公は誰だ? 自分だ。一哲さんがTシャツを着るときは、どの瞬間も主人公は一哲さんだ。しかも、服までもがほとんど自分自身の皮膚と化した状態になっている。”
(『murmur magazine for men』第2号 P50より) 

(竹内・記)