放浪しながら、暮らす方法って?

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北風が吹けば南へ、太陽が照れば北へ。
気の向くままに帆を進める、毎日が旅のような暮らし…、いやあ憧れます。

全国を車で放浪して、本を売りながら暮らしている人がいるらしい。その名も旅する本屋「放浪書房」さん。関西にやってくるという情報を聞きつけ、会いに行くことに。富永浩通さんに、“旅と暮らし”について聞いてみました。

放浪書房を運営されている富永浩通さん。通称トミーさん。@兵庫県・伊丹駅近く

―「放浪書房」はどんな風に始まったのですか?

富永:「放浪書房」を始めたのは2006年。“一生旅したい!”という想いで、上手くいかなくなったら辞めようくらいの気持ちで、京都の鴨川からスタートしました。20歳の時に自転車で四国1周をしたのですが、人間って生きていくのにこのリュック一個分で何とかなるんだなって思ったんです。だから自分の基本装備って何かなといつも考えています。今は、車を改造して中で寝泊まりできるようにして、これを拠点にして全国で商いをしています。

放浪書房は、神出鬼没に出店する。旅に出られない冬の時期や梅雨の時期は、実家のある千葉に戻っている。(写真提供:放浪書房)

特に先だって出店告知はしないが、「誰かが見つけてくれて、面白がって勝手に告知してくれたりするんです」と富永さん。(写真提供:放浪書房)

小商いをテーマにしたレクチャーを頼まれて、地方で講師業なども行っている。(写真提供:放浪書房)

―旅をする町はどうやって決めるんですか?

富永:自分から町を選ぶことはないです。呼んでくださるご縁があるところに出向いています。今回兵庫県伊丹市に来させていただいたのは、小商いの講師として呼んでいただいたからなんです。
ドラキュラって、建物の中の人が入って来ていいよと言わないと建物に入っていけないの知ってます?だから、なんだか自分はドラキュラみたいだなと思っています(笑)。誰かが縁を繋いでくれることで、その町に来れるんですよね。講座を聞いてくれるお客さんだって町の人たちが集めてくれていて。僕の話を聞きたいと呼んでもらえる土壌もこの町にあって、その土壌自体を借りているような感覚です。

富永さんの旅の拠点となる車。寝泊まりもでき、食べ物や荷物など必要最低限のものが積まれている。

助手席はテーブルとしても活用され、簡単な調理も可能。富永さん的に言うと「“移住移商” 旅商い的 vanlife(バンライフ)」な空間となっている。

―「暮らし」についてどう思います?

富永:こういう生き方を12年間やっていて、去年あたりから「暮らす」ということについて考えるようになっています。僕はひとつの町にいくと、4日〜1週間はその町に滞在します。もちろん住んではいないけど、そこで仕事をしてご飯食べてそこで寝て、面白いところがあったら、町の人と一緒に行ったりして。住んではいないけど暮らしているなと思ったりします。行く先々で、寝る場所を借りたり、商いをする場所を借りているんだな。暮らしを借りているなって思うんです。

―「暮らしを借りている」ですか、面白い言葉ですね。

富永:気になった言葉があるとその言葉の語源を調べるんです。「暮らす」の語源は、日が暮れるという意味なんですって。1日が過ぎていくということ。自然の営み、太陽が登って落ちていくこと。それが1年で四季になる。自然の営みに逆らわずに1日1日を過ごすことが、暮らすということなのかなって。だから、住むということは、「暮らす」の中に入っていると僕は思っています。

町も借りている。その対価として、情報や知識、本を残していったりしている感覚だそう。(写真提供:放浪書房)

―OURS.は、カリグラシをテーマにしたウェブマガジンなんです。

富永:僕の言葉で言うと、カリグラシは「軽やかな暮らし」かな(笑)?軽い暮らしをしたいと思う。昔の人はもっと暮らしを楽に考えていたんじゃないかな。日々を生きるのに精一杯で、あまり複雑なことを考える暇もそんなになかったんじゃないかなと思います。今の現代人は、目的や大事な部分は何かを考えると、もう少し楽に生きられるかもしれないですね。
カリグラシ。軽暮らし。いい言葉ですね。

取材・文:小倉千明


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