人気の移動式カレー屋「カチャロンカ」に聞く、
大阪のカレー屋さんの実情。

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大阪のカルチャーに欠かせない食。それはカレー!
天下の台所と呼ばれる大阪では、近年カレー屋さんが急増中。スパイスカレーやインドカレーなどオリジナリティに溢れたカレー屋さんは、365日毎日食べて巡っても全店舗を網羅することは難しいほど。カレー屋を紹介したMOOK本も多く刊行され、「カレーEXPO」や「口癖はカレー」など、カレーを主体においたイベントも多くの動員数を誇っている。勢いが留まることを知らないカレー…。大阪人にとってカレーという存在ってなんなのでしょう?

レトロな外観が目を引く一棟ビル。

という前置きもはさみつつ、今回は、南船場にある「カチャロンカ」さんに突撃取材を決行。カチャロンカさんは、カレー流行の先駆けともいえる、長堀橋の「ボタ」と松屋町の「アララギ」の3号店。そう、いわゆるカレー界のサラブレッド。
半年前まで、「間借りカレー」というキャッチコピーで、“カレー屋のなかで別のカレー屋をする”という特殊なスタイルで展開していたが、現在は南船場にあるビルの1階でシェアという形で、お店を運営されている。

今どきの大阪のカレー屋さんの実情って、どうなってるんですか?!

1階はお昼にカレーの「カチャロンカ」、夜17時からはインド料理バル「ミスターサモサ」がオープン。地下はギャラリー「Pulp」。2階はイベントなどを行うスペース「HOPKEN」の4店舗で成り立っている。

壁はアーティストのマサゴンさんによるペイント。B1~2階の空間は、音楽とアートとフードが緩やかにつながっている。

カチャロンカ店長の三上さん。明日用のカレーの仕込み中。

―三上さんは、どうやってカレーの道に?

7、8年前に梅田のイタリア居酒屋で働いていた頃、ボタは行きつけのお店だったんです。あるきっかけで仕事を辞めた時にカウンターで飲んでたら、ちょうど2号店のアララギができるタイミングで、手伝ってよとオーナーに言われたのがきっかけです。それから2016年10月に、移動式カレー屋として「カチャロンカ」は生まれました。イベントに出店したり、お店の一部を借りてカレーを販売したりしていました。そして、2017年5月頃には、1つのビルを4店舗がシェアするという現在の形態になりました。

―カレー屋の中で別のカレー屋をする「間借りカレー」というのは、なんだったのでしょうか?

このビルに店を構えるまでの間に色々ありまして、ここだけの話なんですが…ある場所で、間借りする予定だったんです。でも、間借りって、又貸しになっちゃうということで、その企画は一旦停止。そこで、ボタの定休日を利用して、ボタでカチャロンカのカレーを出すことになったんです。

移動式カレーの時は、このバイクに荷物を積んで、ぶーんと別の場所に移動するというスタイル。

―ボタの2号店で働いていた三上さんが、ボタの定休日にまた別のカレーを出してたんですね。カチャロンカとしての店舗を構えた今では、移動式カレー屋はもうされてないんですか?

現在でも移動式カレー屋は続けています。今は月1回ずつ、南森町の「アンズ舎」と日本橋「kissshot」さんに行って、カレーを販売しています。お店に合わせて、出来上がったカレーを持っていって販売するスタイルです。アンズ舎さんでは美味しいサイフォンコーヒーがセットについてきたり、kissshotさんなら、ドリンクセットでカフェ&クッキーがついてくる。お店に合わせてコラボレーションメニューが楽しめるのが特色ですね。

―店舗運営といろんな場所で移動式の店を出すのとそれぞれの利点ってありますか?

どちらがいいとは言い切れないですね。店舗を持つと固定の家賃がかかってきますが、移動式だと売上の何%かを使わせてもらったお店に渡すといった契約が一般的です。売上によって家賃が変わるみたいなものなので、そこは移動式の利点ですね。
このビル全体としての良い面は、4店舗それぞれができることをして、共同作業でビルまるごと盛り上げられることです。イベントやパーティ、2階スペースでのライブなどがあれば、そのままカチャロンカとしてカレーを販売できますから。

HOPKENでは、音楽・アートを絡めた様々なイベントが行われている。

2階のHOPEKENイベントスペース。20人くらいは収容できる。端っこにはピアノも。

2階にあるHOPKENへの階段。B1のギャラリーを訪れた人がついでに2階に行ったり、カレーを食べていったり。ジャンルの境目にカチャロンカはある。ここにきたら、なにかしら楽しめるという状況が生まれている。

―大阪のカレー屋さんの現状を教えてください。

今も増えつづけてますよね。自分で店舗を持たずに路上や他の店を借りてでも始められるカレー屋は、スタートしやすい飲食業かもしれません。カレー屋さん同士の横の繫がりも強いですし。イタリアンやフレンチなど他の飲食ジャンルよりも、繋がり方も早いのではないでしょうか。
ちなみに僕たちも、月に1回、同年代のカレー屋さんが集まって飲み会をしてますよ。「へえ」「そうなんや」「あのスパイスってどのタイミングでいれるのー?」って、そこでお互いに探り合ったりして。

カレーイベントのフライヤー。音楽ライブがあったり、本や雑貨の販売も同じ会場で行われている場合も多い。カレーはカルチャーとカルチャーの接着剤のような立ち位置も担っているのかもしれない。

―カレーのイベントも盛んに行われていますね。

僕はそろそろ、カレーイベントで出会ったカップルが結婚とかしてるんじゃないかとか想像しています。“美味しいカレー知ってるから食べにいこうや”とか、ハードルの低い誘いやすさみたいなのもあると思うんです(笑)。今や、カレーはコミュニケーションのツールにもなっているんじゃないでしょうか。

「カレーという食べ物に関してこういう動きが起こっているのって、大阪独特じゃないですか?」と三上さん。

これからも大阪のカレーカルチャーから目が離せない。

撮影・文:小倉千明


カチャロンカ
住所:大阪府大阪市中央区北久宝寺町2-5-15
営業時間:11:30~16:00
定休日:日曜