長屋パラダイス、大阪ならではの
ナガヤ企画が今年も

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江戸時代、大阪の町人の約85%は長屋の借家に暮らしていたというデータがあるという。長屋は、大阪にあってはそれほど身近な住まいの形…だったが、近年では、老朽化や空室が増えるにつれて、次々と取り壊されて急激にその数を減らしている。

そんな中、大阪にある「長屋」を同時に一般公開、長屋どうしのネットワークをつくろうという企画『オープンナガヤ大阪』が2011年からスタートした。初年度は4会場、参加者31人だったのが、昨年は41会場、のべ3,244人が来場するという規模にまで成長してきた。

「手応えを感じています」というのは、大阪市立大学生活科学研究科教授で、『オープンナガヤ』の実行委員長を務める藤田忍さん。
「長屋というのは個人宅が多いので、公開したくても公開できないというジレンマがありましたが、回を重ねるごとに、長屋でお店をやっている方の参加が増えてきたおかげで、かなり広がってきました。お店の場合はいつでもウェルカムなところが多いので、ガイドマップも早めに発行して、オープンナガヤの通年化というのかな。そういう仕掛けも進めています」。

実際、昨年度の『オープンナガヤ大阪』のガイドマップを見ると、各長屋の写真、紹介記事に地図が掲載されて、さながら大阪長屋図鑑の趣き。

「長屋の写真を見てるだけだと、「なつかしくていいですね」ってどうしても他人事になっちゃうので、やっぱり実際に長屋で暮らしている様子を見てもらいたくて。そうすることで、空き家になってる長屋に住んでみようという人を増やしたいので」と言うのは、『オープンナガヤ』の実行委員会事務局の一員で、長屋の改修設計を手がける大阪市立大学生活科学研究科准教授の小池志保子さん。

大阪の空堀や中崎町など、長屋がすっかり人気物件として定着している街もあるが、藤田さんと小池さんによれば、まだまだ他の街でも長屋は数多くのこっているし、それが空き家化して、次々と壊されているという。

「長屋ってほとんどが賃貸住宅というのが面白いところで。調査をしていると、住宅ローンもなくて、自分のやりたいことが実現できるのがいいとおっしゃる方が多いです。利便性が高くて、その都度、自分のやりたいことを選べるのが長屋のいいところですね」(小池)。


撮影/多田ユウコ

「長屋を使って、ひとりでちょっと仕事を始めるって方が結構いまして、たとえば、おばあちゃんがカステラをつくってそれを家族で支えながら売ったりとか、趣味が高じて、ふっと仕事にしちゃう。小商いですね。長屋の小ささや家賃がそういった今の時代と合っている感じがします」(藤田)。

まさに「カリグラシ」の優等生ともいえる、大阪の長屋。
今年も「オープンナガヤ」は11月に開催。

9月には長屋をテーマにしたシンポジウムも開催される。研究と実践が進む、長屋に見合った粘り強い耐震補強の報告や、日課のように長屋パトロール(長屋の現況と変化を記録)しているという研究者の報告、実際の大家さんの登場も。シンポジウムは事前予約制だが、定員100名のところ、すでに85人を越える予約が集まっているそうなので急げ!


『オープンナガヤ』の会議はもちろん長屋で、オープンミーティングで開催。

 

<INFO>
オープンナガヤ大阪シンポジウム『大阪長屋の保存活用とネットワーク形成』
日時:2017年9月6日(水) 18:30~20:30
会場:大阪市立大学文化交流センターホール(大阪駅前第2ビル6F)
定員:100名(申込先着順)
https://www.sumai-machi-net.com/event/portal/event/32865

『第7回オープンナガヤ大阪2017』
日時:11月11日(土)、12日(日)
会場:中崎町、阿倍野、住吉、住之江、平野、生野、東住吉、大正など、大阪各エリア
*参加する長屋の情報、公開時間、開催プログラムなどをまとめたガイドマップを10月に発行予定。
http://opennagaya-osaka.tumblr.com/

問い合わせ先:
大阪市立大学長屋保全研究会、オープンナガヤ大阪2017実行委員会(大阪市立大学生活科学研究科 藤田研究室・小池研究室内)
E-mail:opennagaya.simpo@gmail.com
TEL:06-6605-2801(生活科学部代表番号)
FAX:06-6605-2830

*横浜でもシンポジウムの開催が決定
『[暮らしびらき]って何ですか? オープンナガヤ大阪シンポジウムin BUKATSUDO』
日時:2017年9月27日(水) 20:00
会場:BUKATSUDO(横浜)
http://opennagayainbkd.peatix.com/event/290846/view/

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OURS.では、大阪の長屋に暮らす笑福亭生喬さんのお住まいを訪ねて、記事にしています。落語家さんの長屋暮らしも、あわせてお読みください。
http://ours-magazine.jp/borrowers/seikyo-1/

文:竹内厚