新聞用紙に出力して
ロバート・フランク展を実現

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時々、いっしょに仕事をしているカメラマンに好きな写真家、影響を受けた人を尋ねることがある。すると、彼の名前が挙がることが少なくない。ロバート・フランク。今の日本の写真の世界にも大きな影響を与えている写真家である。

1958年、約2年をかけてアメリカ各地を旅しながら撮影した写真集『The Americans(アメリカ人)』を発表。直感で捉えて記録したその作品は、あたらしい写真の世界を切り開いたとされる。ロバート・フランクはその後も、精力的に映画作品に取り組むなどして、今なお現役の存在。1924年生まれだから、今年で93歳だ。
ただ、近年になって、そのオリジナルプリントは作品価格がとてつもなく上昇して、たとえ美術館であっても展示や貸出の条件があまりに厳しく、フランクの作品を展示するのはとても困難な状況にあるという。

ロバート・フランク 《ニューメキシコ州サンタフェ》1955年 『The Americans』(1959年)より © Robert Frank

そんな中、なんとも型破りな展覧会が企画された。安い新聞用紙にロバート・フランクの写真を高画質で刷り出して、そのまま展示するというのだ。しかも、会期の終了後はすべて破り捨てることで、作品が市場に流れることもない。取り扱いは超簡単、作品に対する高額な保険料も不要となる。

「本展は、写真だからこそできる写真展だと思います。つまり、紙焼きになった写真はアートで、紙に出力された写真はアートではないのか、といった問題です。写真の展覧会でこういった試みは初めてではないでしょうか」と展覧会の総合プロデューサーを務める、キュレーターの林寿美さん。

ロバート・フランク 《葬式―サウスカロライナ州セント・ヘレナ》 1955年 『The Americans』(1959年)より © Robert Frank

展覧会を企画したのは、ドイツの出版社、印刷会社「シュタイデル社」のゲルハルト・シュタイデル。彼を密着取材した映画『世界一美しい本を作る男』は日本でも公開されたので、その姿を覚えている人もいるかもしれない。
世界屈指の写真家、出版人が挑む、あたらしい展覧会の形。物の価値、複製芸術の意味が問い直されている。

<INFO>
『ロバート・フランク:
ブックス アンド フィルムス,1947–2017 神戸』

会期:2017年9月2日(土)~22日(金)
会場:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
入場無料

*代表作『The Americans』はもちろん、最新作の「目で見る日記」シリーズまでを紹介。ロバート・フランクの全貌が見渡せる。会場では新聞用紙に印刷した展覧会カタログの販売も。また、別会場の神戸・元町映画館では、ロバート・フランクを取材したドキュメンタリー映画『Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代』を上映。こちらの上映期間は9月16日(土)~10月1日(日)。
https://robertfrank2017kobe.tumblr.com/

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OURS.では、以前、兵庫県立美術館に取材して美術作品の貸し借り事情を記事にしています。保険の話、作品輸送の話に加えて、作品を貸し借りする意義について話されています。
http://ours-magazine.jp/borrowers/hyogo_kenbi-01/

文:竹内厚