どこでも式場になる!
使われてない場所を活用するウェディングの可能性。

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「ウェディング業界って、カリモノばかりだよね」
どこかの飲みの席でそんな話がでた。思い起こせば、この華やかな空間は、確かに会場もドレスも神父さんもカリモノで成り立っている。カリグラシの目線から、ウェディングを切り取ってみようということで、ウェディングプランナーさんの取材を決行!

結婚式も自由につくりたい!という“フリースタイルウェディング”(写真提供:SUDACHI BRIDAL)

今回お話を伺う、「SUDACHI BRIDAL」さんは、京都を中心に活躍されているフリーランスのウェディングプランナーさん。ホテルなどでの制約の多いウェディングではなく、もっと自由に、自分たちらしいウェディングをしたいという今どきの新婚さんたちの中で、需要が高まっている“フリースタイルなウェディング”を実現に導いてくれる人だ。
なんとこれまでに、山奥の林業センターや小学校など、通常思いつかないような場所をウェディング場として活用しているとのこと。

彼女のつくるウェディングは一体どんなものなのか、そこではどんな風景がうまれているのか、お話を聞いてみた。

 

個性豊かな新郎新婦さんと、唯一無二のウェディングをつくりたくて

SUDACHI BRIDALのウェディングプランナー巣立絢美さん。独立して、現在3年目。

ー今の仕事を始めたきっかけは、何だったのでしょうか?

巣立:元々大手ウェディング会社の式場でプランナーとして勤めていたのですが、プランを形式的な型にはめていくだけの作業に、これは良くないと思いまして。新郎新婦さんの想いに寄り添ったオリジナリティ溢れた結婚式が作りたいという気持ちが強くなり、独立することにしました。

ーウェディングプランナーさんのお仕事って、具体的にどんなことをされるんでしょう?

巣立:新郎新婦さんからの依頼を受けて、まずヒアリングをします。 数時間かけてイメージをお伺いしたあと、時間をいただいて検討して、こちらからプランを提案するという流れです。一番最初に場所を抑えてから、コンセプトを決めてフード・空間デザイン・タイムスケジュールなど、だいたい1年間かけて、具体的な内容をひとつひとつ作り込んでいきます。

ー膨大な作業ですね…。2016年に京都の山奥でのウェディングをプランニングされたと伺いました。

巣立:京都の「雲ヶ畑林業センター」という場所で行いました。山の奥でテントを借りたのはそのときが初めてですね(笑)。普段は森林組合が管理している施設で、山好きのハイカーさんや自転車で山巡りをされる方などが立寄る休憩所として利用されています。ただ、最寄り駅から車で30分位という交通の不便さもあり、あまり活用されていないというのが実情です。
この案件は、場所探しから手探りでしたね。家族の協力などもありながら、人の繋がりを辿りながらこの場所を見つけて、なんとか使用許可をいただきました。

「雲ヶ畑林業センター」に取材で伺った日は、あいにくの雪。地下鉄北大路駅から車でさらに山奥まで進み30分程でやっと辿り着いた。スマホの電波も届かず。

施設の中の様子。通常はカフェとして稼働している。

ーなかなかウェディング場としては考えられない場所ですよね。

巣立:そうですね、こういう風に使われたのは初めてではないでしょうか。

2016年9月に開催された、ウェディングレセプション。(写真提供:SUDACHI BRIDAL)

巣立さんが信頼できる、カメラマンやフラワーデザイナー、フードのケータリングなど、各ジャンルのプロフェッショナルが一丸となって作り上げる。(写真提供:SUDACHI BRIDAL)

新郎新婦と意見交換して、情報共有しながら、空間のイメージも固めていく。(写真提供:SUDACHI BRIDAL)

「チームメンバー同士、目的は共有しながら、それぞれが刺激し合いながら進化していっているので、時間が経つにつれてチーム力はどんどん強まっていると感じています」と巣立さん。(写真提供:SUDACHI BRIDAL)

新郎新婦の希望で、野外音楽フェスのようなイメージに仕上げられた。

ゲストは約70名で、友人中心と家族が集まった。招待客のドレスコードは、「デニム」。(写真提供:SUDACHI BRIDAL)

施設の階段を、ウェディングロードに見立てた。(写真提供:SUDACHI BRIDAL)

式場に務めていた時と比べて絶対的に違うのは、新郎新婦さんとの関係性の深さ。イメージを元に一から作り上げる過程で、頻繁に連絡を取り合って認識確認をするのだとか。「別の家族みたいな存在になれたら嬉しい。今度も、結婚記念日に夫婦と一緒にご飯食べに行くんですよ」と巣立さん。(写真提供:SUDACHI BRIDAL)

バーベキューやケータリングフード、音楽ライブも行われ、新郎新婦も出演した。始終あたたかい雰囲気が流れていたそう。(写真提供:SUDACHI BRIDAL)

 

地元の人が遊びにくるウェディングもいいじゃない!

ーこういうウェディングをプロデュースしてみて、いかがでした?

巣立:なかでも、一番嬉しかったのは地元の方々の反応でした。

「雲ヶ畑林業センター」の管理をされている山本さん。ウェディングの企画段階から当日まで、巣立さんを周りから支えてくれた方。取材時も、早朝から暖炉で部屋を暖めてくれていた。

巣立:雲ヶ畑林業センターの山本さんを始め、地元の方もとても協力してくださり心強かったです。「ここで、結婚式とかどんな風にするん?」と興味を持っていただいたりもして、当日に地元の人も足を運んでくださる方もいらっしゃいました。この辺りは高齢化の進むエリアなので、若い人が集まっているだけでも地元の方には嬉しかったようです。新郎新婦さんも他人を受け入れてくださるオープンな方で、みんなで一緒にお祝いしました。
この日をきっかけに、「こんな場所も式場にどうや?」と色んな場所の情報をいただいたりしています。この間は、京都の山奥にあるヘリポートを紹介していただきました(笑)。

「型にはまらない自由な結婚式って、実現するために時間もかかるし言葉よりも本当に大変なんですけど、達成感はもの凄いです!」と巣立さん。

 

ウェディングを通して場所の魅力を開発する

ー今後、どんなウェディングをプロデュースされていくのか、楽しみです。

巣立:今は出身地の京都を中心に活動しています。以前よりも最近は地元愛が育ってきておりまして、京都の良さを多くの人に知ってもらえたらいいなと思うようになっています。
京都の良さは、古いものを大切にしつつ、新しい伝統やカルチャーを受け入れるところだと思っています。古き良きものと新しい流行のミックスで京都らしさを伝えることを、ウェディングというジャンルでチャレンジしたいと考えています。

いま巣立さんが進めている「貴船神社プロジェクト」。京都の伝統的な場所をウェディング場として活用しようという取り組みだ。(写真提供:SUDACHI BRIDAL)

巣立:空き町家や過疎化の進むエリアにある施設など、使われていない場所を活用するという動きは、最近、民泊やリノベーションなど色んなアプローチの方法がみられますけど、私はウェディングというツールで、「こんな場所を!?」と驚かれるような場所に新しい価値をつくれたらと動いています。ウェディングで町おこしも、もう夢じゃないかもしれないと思っています。

取材・文:小倉千明


SUDACHI BRIDAL
http://sudachi-bridal.com/