[信楽の一軒家|デザイナー夫婦]

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後編 「きょうも来客あり」

加藤駿介さんと佳世子さんご夫婦は、信楽の一軒家で暮らしながら、グラフィックデザイナーとして、コンテンポラリーな陶器ブランドを手がけています。

中学校の同級生で、陶芸作家の友人たちが、
きょうも加藤家を訪ねてきました。
手みやげは陶器!? 
とりわけ特別なことでもなく、それが信楽の日常だそうですよ。

[加藤駿介さんへのインタビュー 2]

「信楽の日常といえば、キジが家を訪ねてきたことがあるんです」

―野生のキジ!

「去年と一昨年の春先、2カ月くらいかな。毎朝決まった時間になると、2階の窓をこんこんと叩く音がして、しばらく何の音だかわからなかったんですけど、よく見ると窓の外にキジがいたんです」

―加藤家に何か用事があったんでしょうか(笑)。

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「いろいろ調べていると、キジって乱婚種らしくて、繁殖期にはいろんな縄張りに出入りするみたいなんです。で、キジが訪ねてくるようになるより前に、うちの奥さんがキジと遭遇したことがあったそうで、そのときの髪がロングで、後ろの毛先だけ3色くらいの色が入ってたんですよ。それが原因ちゃうかって(笑)」

―キジが奥さんに求婚!?

「それしか考えようがない(笑)」

―町なかではありえない経験ですね。

「やっぱり違いはありますよね。東京では移動手段としてよく自転車に乗っていて、駐輪場が全然なかったんですね。そうした体験もあって、自転車スタンドをCACHI COCHIのプロダクトとしてつくったんですけど、信楽ではまず自転車に乗ってる人がいない。みんな、車移動ですから」

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ー自転車を停める場所に困るなんてこともないでしょうね。

「だから、信楽焼で自転車スタンドをつくるって発想には、信楽のひとからはまず出てこない。もちろん意図的に、信楽のイメージから遠いものをCACHI COCHIで提案してみたんですけど。陶器ってひとくちに言っても、色や質感が全然違うんですよ。なので、自転車スタンドも6色展開にして、まずは素材の魅力を伝えられたらと考えました」

―町ぐらしの感覚を産地にもちこんだわけですね。

「そうなんです。けど、信楽に住みはじめてもう5年になるので、スペースに余裕がある信楽の環境になじんで、自分たちがつくるものも大きくなってきた気がします(笑)」

―産地の環境に染まりすぎてもいけないし、その塩梅がむずかしい。

「信楽で暮らしながら、その生活の延長線上であたらしい陶器を提案できたらといいなと思っていますけど、まだまだ自分たちでも実験しながら進めている感じですね」

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出演:
加藤駿介
加藤佳世子
古谷宜幸
山田晃嗣

音楽:松野泉
撮影・編集・監督:加藤文崇
スチール写真:平野愛
協力:CACHI COCHI

[撮影後記]
二人のことは随分前から知っているのですが、今回の取材ではじめて日常の暮らしを見せてもらうことが出来ました。二人のこだわりが随所にみられる、本当に素敵な暮らしでした。
(加藤)

[プロフィール]

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加藤文崇
1977年生まれ。les contes代表
京都を拠点に芸術文化に関わるドキュメンタリー制作や、アーティストの映像制作のサポートなどを行っている。
また、npo recipのメンバーとして、地域の芸術文化の調査や紹介をする取り組みにも力を注いでいる。
http://www.recip.jp/

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