with
藤野可織 (作家)
around
堀川三条~三条通~仁王門通 〈京都市〉

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気持ち悪いものや廃墟は好き。
けど、住むなら絶対に新築マンションという作家の藤野可織さん。
散歩は、京都で最もにぎやかな河原町通を越えて、
三条通を東へ進んでいきます。

#03

近眼地獄/かもめと鴨川/アロエの花

―烏丸から河原町にかけて、町のにぎやかさのわりにはあまり観察物を発見できませんでした。映画の話ばかり聞いてしまったせいでもありますけど。女性誌『FRaU』(15年3月号)で、「ニコラス・ケイジ座談会」に参加されてるんですよね。

藤野:そうなんですよ。依頼がきた時には、『FRaU』やるな、と(笑)。ニコラス愛をカラー4ページにわたって、語り合っていますのでよろしくお願いします。小道具として編集部の方が用意してくださったニコラスのお面は、大切に持って帰って仕事部屋の壁に貼ってます。

―ニコラス愛がすごい!

座談会の参加者の中に顔出しNGの方がいて、その方だけニコラス面をかぶって写真に写ってるんですけど、あれ全員かぶったらすごい面白かったやろなあと思います。いつかそういうスナップ撮りたいですね。商店街を行き交う人全員ケイジ、みたいな。まるっきり『マルコビッチの穴』のパクリですが。

―藤野さんのブログ「近眼地獄」*では、街角スナップが掲載されていましたし、大学時代は写真部だったそうですね。今でも写真はよく撮られますか?

最近は面倒くさい病が高じすぎて、かばんからデジカメを取り出すのが面倒くさくなってしまって。せっかくGRデジタルを持っていても、部屋でしか撮らなくなりました。

―かばんから出す、そのひと手間が面倒なんですよね。

そう。なんかしらんけど、かばんの中に無駄に本が入っていたりして、どこにカメラがあるのかわからなくなる。写真はもうケータイでも十分ですから。

―日常的なことって、機能面というよりもちょっとした手間の差で変わっていくんでしょうね。鴨川にさしかかりました。

かもめ! 写真に撮れたらいいですね。

―鴨川のもう少し上流付近では、油断するととんびにすぐ食べ物をさらわれますよね。

私も荒神口のパン屋で買ったパンを食べようとしたら、パンの袋を開けた瞬間に真上に飛んできて、その後もずっと見張られてました。頭ええねんな。

―鴨川はどうですか。

あまり来ません、寒いですしね。京都御所のへんに住んでた頃は、このあたりまで出てくるのに鴨川か御所を通り抜けてきましたけど、引っ越してからはそういう機会もなくなったので。

―京都御所と鴨川って、自転車で京都を南北に行き来する時の通りぬけルートとして定番ですね。

そうそう、町中の道は走りにくいので。……アロエの花! すごい、初めて見ました。

―京阪三条駅前にある老舗の食堂「篠田屋」さん、その軒先にある鉢植えです。

アロエはすごく好きなんですよ。生き物っぽくていいですよね。うちではもう3株枯らしてしまったんですけど…。いきいきしてない植物が好きなんですけど、このアロエはいきいきしすぎていて、それがいい。

―植物の生命力が感じられて。

というよりはやっぱり気持ち悪いからですね(笑)。

*藤野さんの撮った写真が見られるブログ「近眼地獄」
http://d.hatena.ne.jp/myopie/

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のら猫/ガラス越しの植物/造花

藤野:檀王法林寺に入りましょう。この境内にも猫がいますよ。

―京都ってのら猫は多いですか。

結構いると思いますね。今もいるかはわかりませんけど、私が小さい頃は、京都御所の中にも猫が居ついてるところがありました。

―檀王法林寺は、通りから奥まった境内でのんびりした雰囲気です。

お寺も神社も私、全然行かないんですけど、こちらは3年連続でお正月に来て、黒の招き猫を買いました。大中小とサイズがあって、中が奇跡的にかわいいんです。

―黒の招き猫も珍しいですね。

そうなんですよ。あっ、この階段あたりにくつろいでる猫は見たことがあります。

―ちなみに、藤野さんは猫を飼ってないんですか。

飼いたいと思ってるんですけどね、夫の反対にあいまして、私がただでさえ寝てばかりいるのに、猫を飼ったら猫と遊ぶか寝るかで、本格的に仕事しなくなるだろうって。まあ、そういうこともあるかもしれないなと思って、飼うのはがまんしてます。けど、みんなインスタグラムやツイッターで猫の写真をアップしてるでしょ。私もあれがやりたい、自慢したい!

―今日はもう残り時間があとわずかになってきましたので、三条通から裏道の方へ抜けて、猫を探しましょう!

…どこかで猫の鳴き声がしませんか?

―空耳じゃ…ないですね。探してたらほんとに猫の声が聴こえてきました。

残念ながらどこか家の中にいる猫みたいですね。…これ! ガラスや扉に植物が押しつけられている状態、大好きなんです。「外に出してよ」という感じで。

―植物の種類じゃなくて、植物の置かれた状況に好き嫌いがあるっていいですね。確かに、独特な見え方。

…あっ、ここなんだ。「裏庭植物店」、よく話題になってるお店ですよね。今買えるのかな。

―電気はついてますけど、店は開いてないみたいですね。HPを見ると、週末のみの営業で、「へんな植物屋」と書いてあります。

気が合いそう。私が好きそうな植物がたくさん見えてます。また来てみます。…こちらのお地蔵さんに供えられてるのは造花ですね。造花のファンシーな感じも好きです。

―藤野さんの好みがだんだんわかってきました。あとは、猫を探すのみですね。

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→ 藤野可織さんとの「さんかつ#04」は3月20日更新予定
果たして猫は見つかるのか。衝撃の結末は次回


散歩と観察

デザイナー、アーティスト、建築家といった、独自のまなざしを持つ方々といっしょに町を歩きます。お題は、パブリックなモノやコト。公園、ベンチ、駅、図書館、路地、空き地、看板などなど、その観察眼はどこへ向けられるでしょうか。