with
藤野可織 (作家)
around
堀川三条~三条通~仁王門通 〈京都市〉

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猫好きの藤野さんといっしょに、
だんだん町の猫探し企画となってきた今回。
制限時間に定めた2時間まであとわずか!

#04

美術館/ちびっこ広場/4時ババア

藤野:猫いませんねー。車の上とかにもたまにいますよね。寄っていくとすごく迷惑そうにされるんですけど。

―探すといないのがいかにも猫ですね。

ほんとに。NHKの『世界ネコ歩き』とか見てたら、もっと簡単に猫に会ってるように見えますよね。

―猫好きにはおなじみの番組らしいですね。動物写真家の岩合光昭さんがナビゲーター。

岩合さんは普段はふつうのおじさんなのに、猫を撮ってるときは「かわいいね」「きれいな猫ですね」ってちょっと人が変わる。猫を前にするとみんなこうなるんやなって。

―いま、声色をマネましたね(笑)。

がんばってみました(笑)。まだ本になってない私の小説で「にゃあじゃわかんない」という話があって、猫が出てくるんですよ。だから表紙には岩合さんの写真はどうかなとか思いましたけど、たぶんダメですね。全然心温まらない感じの小説なんで、岩合ファンからクレーム来ちゃう。

―と話してる間に、残り時間がもう5分になってきました。岡崎までもう少しですけど、たどり着けなさそうですね。

でもここ、仁王門繁栄会って私が好きな通りまで来ましたよ。お店はもうあまりないんですけど、なんとなく好きな通りで。

―三条通とはまた違った、暮らしの近さがほどよい通りですね。ちなみに、到達できなかった岡崎のエリアでいえば、藤野さんが好きな施設はなんでしょう。

やっぱり美術館が好きですね。京都市美術館もいいんですけど、国立近代美術館の方。それは、私が美術館に行きはじめた頃って、国立近代美術館がすごく新しくて、ピカピカしてたんです。あの斬新な外見は何だ! って感じでよかった。

―開館当初はそんなイメージだったんですね。藤野さんの「いけにえ」は美術館に悪魔が出る話。

あれは特定の美術館をモデルにはしてませんけど、自分の見聞きしたいろんな美術館から考えあわせたものです。具体的な場所を小説の舞台にしたものだと、「ちびっこ広場」という話があります。

―『爪と目』といっしょに収録されています。

「ちびっこ広場」は二条寺町にあって、ちょっと奥に入っていくのが怖いような暗い場所なんですけど、小っちゃい頃からそこが好きで。

―子どもの頃だと薄気味悪そうな場所には敏感になります。

暗いところを通らないと入れない場所でしたけど、なんか好きでしたね。でも私、すっごい怖がりなんですよ。そうだと思われてないんですけど。

―ちなみに、「ちびっこ広場」はどんな話でしょう。

小学生の間で、4時44分にその場所へ行くと呪われるみたいな怪談が流行っていて、その時間に自分の息子が行っちゃうというような話です。私が小学生の頃、「4時ババア」ってのが流行ってたんです、女子トイレに出るって。

―トイレの花子さんみたいなものですか。

そうそう、私らの頃は花子さんじゃなくて4時ババアでした。これは私の小学校だけだと思いますけど、その後、男子トイレには「5時ジジイ」が出るって話も広まりました。女子にだけ出るのは不公平だってことで。

―そこで男女平等! ローカルな都市伝説っていろいろ面白いですね。

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そして、エア猫

―と話している間に、制限時間になりました。結局、猫も見つからないままで。

いいんですよ。私、部屋でもエア猫を飼ってますから。

―えっ!?

部屋でもたまにこう抱き上げてみたり、ときどきパソコンの上に乗ってくるんですよ。で、もう仕事できひんやんって(笑)。

―エア猫に仕事をじゃまされて(笑)。

私のインスタグラムにはほんとはうちのかわいい猫が写りまくってるのに、「猫かわいいですね!」というコメントが全然つかないんです。心のきれいな人しか見えないせいかな…。

―今日もずっと町にはエア猫がいたような気がしてきました。

そうですよ。猫は心で飼うもんですよ(笑)。

―おおっ(笑)。 だけど、実際、猫のことを考えながら町を歩けば、目線が全然変わりました。エア猫すごいですね。

オススメです。

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文:竹内厚 写真:沖本明


散歩と観察

デザイナー、アーティスト、建築家といった、独自のまなざしを持つ方々といっしょに町を歩きます。お題は、パブリックなモノやコト。公園、ベンチ、駅、図書館、路地、空き地、看板などなど、その観察眼はどこへ向けられるでしょうか。