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山尾光平 aka BAKIBAKI(画家)
around
塚本~淀川~十三〈大阪市〉

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アーティストの山尾光平さんと淀川区をぶらぶら。
今回は淀川の河川敷から十三駅へと向かいます。
対岸から眺める大阪駅周辺のビル群、なんだか叫びたくなってきます。うおー、ビルディング!

#02

 

バグる現実/ポケストップに絵/十三ブルックリン説

―さて、淀川の河川敷にやってきました。

山尾:最近はこのあたり、ポケモンGOで来ましたね(笑)。

—実際、ポケモンはかなりのひとを外に駆り出しましたね。

うん、でもポケモンGOにもしっかりストリート感があって、たとえば、リアルな鳩を見て「あ、ポッポ!」と思ったり。頭の中が一瞬バグる、その感じがかなり新鮮だった。

—まさに拡張現実。

だから、ポケストップになにか絵を描いたりできたら面白いかも。

—実際にカイリュウの絵が描かれてたり? それ、面白い。

うん。いまは、夜の公園にゾンビみたいに集まってくる、そのひとたち同士にコミュニケーションはないけど、今後そこから交流が始まればいいかな。ただ出会い系になってしまうと、また危険な香りがしてくるかもだけど。

—まず、これだけのひとを動かすというのは、あらためてすごいですね、ポケモンGO。

そう、社会を変えてるから。あと、ポケモンってキャラとしての威力がかなり曲者というか。メキシコではマリア像の横にピカチュウが飾られてたり(笑)。

—それはすごい。

八百万(やおよろず)じゃないけど、キャラクターは神様やと思ってるところがあって。キャラがひとに愛されることで力を増す。そういう意味では、ポケモンはかなり強度がある。

—散歩しながらそんなこと考えてるんですね。このあたりはちょうど先日、淀川花火大会が行なわれていたので、そのフェンスが残ってます。

花火大会の日は、この街にこんなにひとがいる!ってやけにうれしくなった。ポケモンだけじゃなくて、花火大会でもあれだけのひとが動くというのは、素敵やなーと思いつつ。それにしても、河川敷を歩くのは気持ちいいっすね。

—対岸の大阪駅周辺のビル、この風景はフレッシュです。

十三は大阪のブルックリン、自分的にはそういうイメージで(笑)。

—淀川がイーストリバーで、マンハッタンを臨む景色だと。元・工場をスタジオにしているアーティストもたくさんいますし、十三はブルックリン説、当たってるもしれません。

夜に十三から橋を渡って飲みにいくときなんか、やたらワクワクするしね。でも、この前ニューヨークに行ったら、やっぱぜんぜん違ったけど(笑)。

―あらら。

けど、この河川敷、あらためていいな。また来ようって思うよね。

—大阪駅から川を越えるだけで、ぜんぜん異世界。なんというか、近くて遠い十三ですね。

うん。ここに僕ら寄りのカルチャーというかそういうものがもっともっと生まれてきたら、他から来る理由になるかなと思う。

 

 

ボブ・マーレー問題/名物の街灯/ションベン横丁

―ところで、クラブやバーの壁に、ボブ・マーレーを描く人って今もかなり多いですよね。特にライブペインティングなどで。あれって宗教画のようなものなんですか?

山尾:うーん、モチーフが固定化してるのはあるかも。「ボブ・マーレー問題」か(笑)。けど、俺のボブ・マーレーはこれだ、ということかもね。クラシックのモチーフ、というか。

―俺のボブは、の観点なんですね、なるほど。…十三公園が見えてきました。

ここは地元のひとしか来ない感じがいいかな。

―サイズ感といい、ユルい空気感といい、ちょうどいい公園ですね。けど、公園を抜けるともう十三の歓楽街というこのギャップ。このあたりに飲みに来たりは?

うん、昼から開いてるところもあるしね。これまでも飲み屋とかで話しかけられて「画家です」って言ったら、「なんか描いてやー」って言われてその場で描くことはよくあって。そういう交流がこれから十三でもあればうれしいけど。

―まだこちらに来て半年ですからね。

そうそう、これから。

―十三駅前の名物、“波平アトム”の街灯も健在ですね。

「WEST13」とかぶせてるけど、透けて見えてる(笑)。

—火事のあったションベン横丁もかなり復興してきました。

前みたいに味が出るのは…だいぶ時間かかりそうやね。

—このあたりで好きなお店はあります?

ベタやけど、みたらし団子の喜八洲は好きかな。

—考えてみれば、十三って工場も飲み屋も映画館も商店街もラブホも公園も川も緑もあって。山尾さん、もう十三から出られないかも?

そうかも。考えてみたら、ほんまにいろいろある、というか、全部あるね。

取材・文:中村悠介 写真:沖本明 編集:竹内厚


散歩と観察とは

デザイナー、アーティスト、建築家といった、独自のまなざしを持つ方々といっしょに町を歩きます。お題は、パブリックなモノやコト。公園、ベンチ、駅、図書館、路地、空き地、看板などなど、その観察眼はどこへ向けられるでしょうか。